内容説明
1990年、任天堂はアメリカにおける家庭用ゲーム機市場の90%超を握る圧倒的な存在だった。一方、セガは大いなる野心を秘めた注目株だったものの、アーケードゲーム専門の中小メーカーにすぎなかった。だが、トム・カリンスキーがセガ・オブ・アメリカのCEOに就任したのを機に、潮目が変わりはじめる――「チーム・カリンスキー」が次々に繰り出す常識破りの奇策は、セガと任天堂の間に莫大な収益をめぐる「仁義なき戦い」を引き起こした。ソニックとマリオ、日本とアメリカがにらみ合い、家庭から米連邦議会に至るまで、あらゆる戦場で繰り広げられた激闘の行方は? 600億ドル産業を生み出した企業戦争の内幕に、200人を超える取材で迫る痛快群像ノンフィクション。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
T2y@
35
任天堂は支配。セガは自由。 プラットフォーマーとして両者のパートナーとの向き合い方の違い。 今で言えば、iPhoneが前者で、Androidが後者と言ったところか。 GAFAプラットフォームに蹂躙されている昨今、かつては日本の二者が覇権を争って居た事を考えると、この当時からの約30年も、失われた時代の一つであろうか。 かつてのゲーマーとしては、〝スーファミでのファミコンソフト互換性機能〟「任天堂プレイステーション 」といった、幻の計画に震えを感じ得なかった。 下巻は次世代機戦争の時代へ。楽しみである!2019/05/24
無重力蜜柑
18
めちゃ面白い。1980年代後半~1990年代前半アメリカのコンシューマーゲーム市場におけるセガと任天堂の攻防を綴った一大ノンフィクション(かなり小説調ではあるが)。現在、コンシューマーのハードウェア開発は任天堂、ソニー、マイクロソフトの三強で、他社の参入はあまり考えられない状況だが、まだ黎明期だった当時のゲーム産業では色々な企業がハード開発に挑戦していた。しかし、アメリカ市場では任天堂のファミコンが圧勝。しかも小売りからソフトメーカーまで統制する同社の苛烈な経営方針のため、新規参入は不可能な状況だった。2024/02/05
デューク
12
ゲーム界の巨人、任天堂に挑んだセガの戦いの記録。 舞台は1990年代アメリカ。30億ドルのゲーム市場を支配するのは、市場シェア90%を誇る任天堂であった。トム・カリンスキーがセガ・オブ・アメリカのCEOに就任し、任天堂に戦いを挑む。巨人の弱点を衝く、弱者の兵法の数々。次々と生まれる新技術。日本本社との確執と、主導権を巡る権謀術数。後に600億ドル市場に成長する巨大マーケットを巡る戦いは、巨人に挑むチャレンジャーの戦いは、読む者の心を熱くする。おすすめ2017/10/07
ダンボー1号
10
なぜ2017年の今米国でのセガVS任天堂?米国人が書いた米国市場のスーファミVSメガドライブ、マリオ対ソニックの話。上は任天堂がシアトルマリナーズの買収まで。ソニックは日本より米国のほうが圧倒的に人気ある(らしい)この後64、サターンが登場して自分もゲーム雑誌にかかわるから下のほうが興味深いが 当時の日本ゲームメーカー台頭と米国市場の状況がよくわかる。当時は日米子供はゲーム機複数よく買ったものだ。2017/04/25
冬憑……(ふゆつき)
7
ご多分に漏れず僕も任天堂機の洗礼を受け育ったので、セガのメガドライブ(本書で言うジェネシス)は、なんだか小難しそうなゲームだなと遠巻きに見ていた。CMで見たソニック、そのかつてないスピード感とギラギラしたグラフィック。なんて難しそうなんだ…。要は僕がガキだっただけなのだが。アメリカ本土では、あのソニックが現在も配管工を凌ぐ人気を得ているらしい。意外にも日本人にはピンとこないその事実は、なるほど。本書を読めば全て理解出来る。巨大帝国ニンテンドーへ挑むセガアメリカの奮闘に手に汗握りながら下巻へと続くのであった2017/08/06