内容説明
銀座鮨店に10年通ったバブル期OL物語。
80年代。都内で働いていた青子は、25歳で会社を辞め、栃木の実家へ帰る決意をする。その日、彼女は送別会をかね、上司に連れられて銀座の高級鮨店のカウンターに座っていた。彼女は、そのお店で衝撃を受ける。そこでは、職人が握った鮨を掌から貰い受けて食べるのだ。青子は、その味にのめり込み、決して安くはないお店に自分が稼いだお金で通い続けたい、
と一念発起。東京に残ることに決めた。
お店の職人・一ノ瀬への秘めた思いも抱きながら、転職先を不動産会社に決めた青子だったが、到来したバブルの時代の波に翻弄されていく。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さてさて
163
恐らく読者の年齢によって評価が極端に上下するであろうこの作品。あの頃、あの時にこの国で何があったのか、それは作品の評価とは別に知っておいて損はない、良くも悪くもこの国の歴史の一ページなのだと思います。そんなことを色々と考えさせてくれたのがこの作品でした。そして読後には無性にお寿司が食べたくてたまらなくなる、そんなお寿司の魅力をこれでもか、と堪能させてくれたとても読み応えのある逸品でした。 2020/11/10
SJW
145
バブル時代にOLをしていた青子は初めての高級寿司店を経験して人生が大きく変わってしまう。タイトルから男女の熱いストーリーかと思ったが、寿司への熱い情熱がメインの小説。柚木さんのグルメの描写は素晴らしく、10のネタの話に無性に寿司を食べたくなった。柚木さんはバブルを経験していないのに、細かい当時の記述をしていて懐かしく読了。自分はその頃海外の重要顧客を高級寿司店で接待したり、毎日経費で飲み食いしたり、毎日タクシー帰りをしたりと正に書かれていたことを実践していたが、この小説のような自腹での贅沢はしなかった。2020/05/03
エドワード
132
1981年生まれの柚木麻子さんには、80年代の東京の物語は時代劇だろう。青子と一ノ瀬、寿司を通した、黙して語らぬ恋。解説の荒木美也子さんと同い年の私には、丁寧に調べて描かれたこの空気感、実にリアルで久しぶりのタイムトラベルを楽しめた。<時代のうねりをこの目で見ている><自分がこの社会を動かしている>この傲慢さが懐かしいネ。1990年に東京を離れた私は、サビの章で帰郷する青子の気持ちに痛いほど共感する。今も年に数回東京へ行くが、オリンピックへ向け懲りずに賑わっている街に、相変わらずだね、と微笑むのサ。2017/04/12
hit4papa
129
バブル前夜からバブル崩壊後の世相を背景にした、OLの奮闘物語です。銀座の鮨の名店に魅力され、その常連になるべく頑張り通した10年の歳月が1年毎に語られれます。グルメ小説であり、お仕事小説であり、成長小説であり、ちょつぴり恋愛小説でもあるんですね。悩める女子社員が、バリバリのキャリアウーマンへ変身を遂げていく様子は、わかってはいるもののワクワクです。ちょっと鼻につきはじめたぐらいで、頃合い良くラストに向かいました。ただ、読了したときに、鮨とお仕事以外、印象に残らなかったので一抹のさみしさはありますか。2018/10/13
のんき
104
わたしは、高級鮨店のカウンターになんて座ったことがないなあ。何注文したらいいかもわからないし。座っただけで三万円なんて!まあ、とにかく出てくる鮨がどれも美味しそう。食べたいなあ!青子の気持ちもよくわかります。最初は上司の奢りでしたが、自分で稼いだお金で通うようになります。鮨の美味しさとそれを生み出す鮨職人に魅了されたのでしょう。青子と鮨職人の一ノ瀬との関係がどうなっていくのか気になりましたあ。最後に並んでカウンターに座って2人が話す場面がお気に入り!2019/08/03
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