内容説明
「アイシテルヨ~」の笑顔のかげに、凄まじい人生があった。フィリピンパブを研究するうちに、あるパブ嬢と付き合うようになった筆者は、その奴隷同然の暮らしを目の当たりにする。月給6万円、偽装結婚、ゴキブリ部屋に監視付、休みは月に2回だけ……そしてある日、彼女に懇願されて、雇い主のヤクザのところに、なぜか乗り込む羽目に! 前代未聞、ノンフィクション系社会学。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鉄之助
222
深夜のTVドラマ「ヒモメン」じゃないけれど、「大学院卒の筆者がフィリピンパブ・ホステスのヒモになった」との惹句に魅かれて読み始めた。面白い!! この本が出来上がったキッカケは、偶然出会った元・朝日新聞記者の勧め。「参考文献から引用? そんなものより、君が経験した事実をかけ!」と発破をかけられ完成した。体当たりルポを超え、立派な「社会学」になっている。2021/03/23
ホッパー
69
面白くて一気読みした。タイトルや表紙から、真面目な研究考察本かと思いきや、中身はノンフィクション恋愛小説のようなスタイル。続編が出れば是非読んでみたいと思う。2021/06/06
おかむら
47
これは楽しい! 「社会学」ではないですが。大学院生が研究対象として近づいたフィリピンパブ嬢と恋に落ちてしまう。ダメじゃんそれ! 指導教授も親も大反対。そりゃそうだ。文章があまり上手くない(でも素直で読みやすい)のもイマドキの若者の体験記としてリアルで好感触。ドラマ化したらいいなあ主演柄本時生で。新書で社会学というお固い感じにした出版戦略がある意味アタリ。2017/05/25
おさむ
44
「ミイラ取りがミイラになる」。この言葉を地でいく大学院生の体験記はすこぶる面白い。フィリピン女性の実態を論文にまとめようと通い始めた名古屋・栄のパブ。そこで働くミカと恋仲に落ちて結婚に至るストーリーは、ドラマのよう。ヤクザが仕切る偽装結婚や奴隷に近い夜の過酷な労働、パブ間やホステス間の熾烈な競争‥‥。こう書くと怖い話だが、なぜか明るい。ミカの底抜けの楽観的な性格と2人の若さゆえか。出稼ぎ者にお金を無心し続けるのは構わない、というフィリピンの家族観は到底理解できないが、認めるのが真の異文化交流なのだろう。2020/11/29
ばんだねいっぺい
44
タイトルが誤解を招く。これは、できるだけ、多くの人に読んでほしい本。新書じゃなくて、いいのではないか。 著者の中島さんの憎めなくて、好ましい人柄が文章を通じて伝わってくる。2017/03/23