講談社学術文庫<br> 再発見 日本の哲学 北一輝――国家と進化

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講談社学術文庫
再発見 日本の哲学 北一輝――国家と進化

  • 著者名:嘉戸一将【著】
  • 価格 ¥1,210(本体¥1,100)
  • 講談社(2017/02発売)
  • ポイント 11pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784062923996

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内容説明

独自の社会主義論と国家論を展開し、二・二六事件の蹶起将校たちの思想的指導者だった北一輝。国体論を批判し、当時の名だたる憲法学者たちとことごとく対決した彼の思想とは、いかなるものか。伊藤博文、有賀長雄、美濃部達吉、井上毅、穂積八束などなど、近代日本の礎となった思想との対抗のなかに北を位置づける快著!

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

かんがく

15
私が近代日本思想に興味を持ったきっかけの人物。議会による社会主義革命を目指した『純正社会主義』時代の北から、軍事クーデタによる国家改造を目指した『日本改造法案大綱』時代の北への、彼の思想の転回を著述。プラトン、ニーチェ、スペンサー、孟子、美濃部達吉、田辺元など国内外の思想家との比較が中心に論が進むため、北の特異性がわかりやすい構成になっている。2019/08/30

無重力蜜柑

10
二・二六事件の理論的指導者で国家社会主義者という雑な認識しかなかったが、特異な思想内容に驚いた。そもそも右とか左とかで片付けられるものではない。科学と社会主義を掲げるもののマルクス主義とは全く関係がない。国家が十全な機能を発揮するための経済格差是正が目指され、「大我」と「小我」が一致した天才による共同体的哲人政治が理想とされる。根底にあるのは科学主義とプラトン主義で、民衆全体の「人類」から「神類」への進化という擬似生物学が極めて特異。最後には民衆の神類への進化に自分の哲人政治を先立せるようになる。2022/05/23

またの名

9
上級国民を「今日の大資本家といひ大地主といふ者は単一なる富豪にあらず国家の経済的源泉を私有して殺活与奪の自由あることに於て全き意義の大小名なり」と批判しつつ天皇中心の右翼国家観を唱えた思想の、伝記を排した内在的解説。マルクスを認めつつむしろプラトン流社会主義を称して人類が完全なる神類へと進化し生殖や排泄行為から解放されるビジョンは、象徴天皇の下の民主主義という現行憲法に近い憲法案すら提示。最期には北の口を借りて「霊」が語り信者達は遺骨を泣きながら食べたという人物の特異性が際立つも、類似の事例が頭に浮かぶ。2019/08/31

mittsko

8
北一輝の思想、とくにその国家論の研究。それを日本思想史、とくに同時代史のなかに位置づけ、「政治論・法論」すなわち憲政論、ひいてはルジャンドル流法論の視覚から整理する。いきおい、明治国家がひねり出していった国体論=天皇論とのするどい緊張関係が、議論の主軸になるとともに、信、準拠、神的起源、真理などの概念が掛け金になっている。一次資料をぐいぐい引きたおす、みっちりした記述で圧力がすごい。気楽には読めないが、とてもエキサイティングな本だと思いました。なお、儒教など中国思想について、筆者はやや決め手を欠くかな…2019/02/05

keint

7
令和200冊目の書籍。北一輝の国家観を進化(国民と天皇が結びついた有機体から神類への進化)という側面から分析している。前期(国体論及び純正社会主義)から後期(日本改造法案大綱)が左派から右派への転向でないことを改めて確認した。ただし、日蓮主義者としての北一輝の側面にはあまり注目していない(法華経信仰を自らを絶対化するためのものとしている)。しかし、巻末の読書案内等も非常に参考になったため、北一輝のことを知りたい人には良書である。2020/01/29

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