内容説明
富と美の象徴「ヴェルサイユ宮殿」。いわば豪華絢爛美学の究極を造りあげたのは「太陽王」ルイ14世である。その複雑な人物像から政治手腕、女性遍歴と宮殿改築の知られざる関係まで徹底解剖する歴史エッセイ!
※本書は2014年5月~2016年4月にカドカワ・ミニッツブックで連載された『ヴェルサイユ』を改題したものが底本です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
星落秋風五丈原
31
ルイ14世と言えば、まず多くの人々が思い浮かべるのが太陽王というニックネーム。72年もの在位期間はフランス史上最長で、フランス王朝の最盛期を築いた。幼少時に寝室まで押し掛けられトラウマとなったフロンドの乱が起こったり、アレクサンドル=デュマの『鉄仮面』に描かれたような出生の謎が噂されたりしたが、精神的にタフ。そのとばっちりを受けたのが王弟フィリップ。女性関係も初恋こそ破れたものの、その後は狙った女性は全てゲット。太陽王が照らさなかった部分、見ようとしなかった部分を、平易な文章でユーモアを交えて綴っている。2017/03/23
春ドーナツ
19
サブタイトルにある発明の「からくり」を詳細に入門的に論じたのが本書となる。鹿島さんの筆にかかると両者はほど良くミックスされる。と言いつつも、私の場合以下のような文章と対峙すると・・・。「保有官僚が(略)有給であったため、官職の増加が一時的には国家財政を潤しても、その数が膨大になれば、(略)国家財政の大きな圧迫要因となったのです」・・・。からくりという構造はアメーバのように増殖する(と思う)。ミニマムな点を端折(はしょ)ると「わけわかめ」になるのだろう。相対的に人間ドラマはシンプルに思えてしまう不思議さよ!2018/07/30
getsuki
9
太陽王・ルイ14世の生涯を描いた評伝。フランス絶対王政の体現者という印象しかなかったのだが、スーパーアイドル・ルイ14世の作り方と言い換えると俄然楽しくなる。いい意味で裏切られた気分だった。ルイ14世が確立させた宮廷儀礼を「ドーダの滝」と表現し、貴族は日々「神経労働」に従事していたというくだりでワンマン社長の取り巻きが脳裏に浮かんでしまい、笑いが込み上げて仕方がなかった。晩年に向かうにつれて輝きを失っていく彼の姿に空しさを覚えてしまったのは、私だけなのだろうか。2017/03/04
ジュンジュン
7
軽妙な語り口は著者の強み。宮廷で繰り広げられる情事を「フランス書院文庫」となぞらえた所は思わずクスリ(笑)。ただ後は気になる点ばかり。先行研究書からの孫引きが多すぎる、おまけに巻末に参考文献表記なし。内容も行動原理をすべて「ドーダ理論」("どうだ"すごいだろという自己顕示欲の発露)で統一。いくらなんでも強引過ぎる。僕的印象で言えば、他の真摯な研究者からそのまま食材を持ってきて、ドーダ理論で味付けしただけの料理みたい。2020/01/06
α0350α
6
ヴェルサイユのこと以外にもルイ14世が何をしたかとか、当時の情勢や色々なシステムが良く分かって興味深く読めました。これでアンリ4世、ルイ14世、ルイ16世の話は読んだので次は間のルイ13世ルイ15世の話を読んでみたいと思いました。2025/03/30
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