内容説明
石岡和己、犬坊里美、そして加納通子――。雪に閉ざされた龍臥亭に、8年前のあの事件の関係者が、再び集まった。雪中から発見された行き倒れの死体と、衆人環視の神社から、神隠しのように消えた巫女の謎! 貝繁村に伝わる「森孝魔王」の伝説との不思議な符合は、何を意味するのか? 幻想の「龍臥亭事件」が、いま、その幕を開ける!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
NADIA
79
なるほど。面白かった。思った通りかなり強引な展開だが、これが島荘だと思えば許容範囲内だ(笑) 山村、昔ながらの因習、復讐の伝説、猟奇殺人、人間消失、生首・首無死体、双子の老人といったヨコミゾ的キーワードと、どろどろした雰囲気が好みの方にはぜひともお勧めしたい。伏線回収が絶妙なスタイリッシュな作風がお好きという方は「ああ、昔はこんな感じの推理小説読んだよね」と懐かしく感じられるかもしれない。オマケに御手洗(電話だけだが)と吉敷という島田荘司二大スター(?)の共演もあり、オールスター感も味わえる。2022/03/01
goro@一箱古本市5/5
61
森孝魔王伝説の締めくくりは衆人環視の中で蘇ったのか。幽霊話で終わるわけはないと思ってましたが凄絶な事件だった。石岡を介して御手洗と吉敷竹史がクロスする作品。理不尽な奴には魔王が成敗しに来るのだと思ってしまうのだ。それにしても地中の死体の解明はコロンブスの卵でした。2024/12/31
Tetchy
43
本作の目玉と云えば、やはり島田荘司2大シリーズの主役、御手洗と吉敷のコラボレーションだ。この趣向は両シリーズを読み通して来た者にとって、なんとも感慨深い、心憎い演出である。『涙流れるまま』以降、吉敷と通子のその後をこんな形で知らせてくれるとは思わなかった。これこそ一級のファンサービスだろう。両者のファンの中にはこのコラボレーションに物足りなさを感じる者もいるだろう。しかし、私はもうこれだけで十分だ。強烈な個性の2人が一所に集まるよりも、石岡という緩衝材を間に介する必要があった方がいいと感じた。2010/01/11
やっちゃん
42
溜めるなあ。終盤まで何一つ解決していない状況に期待感が高まる。突然現れた刑事は別シリーズからなのか。彼でも御手洗でもなくまさかの本人自白の真相解決。いつもの力技ゴリ押し理論ではあったが島田荘司を存分に楽しめた。2023/02/12
勇波
38
「幻想」というか名に相応しい島田作品らしい物語でした。この物語の主人公は御手洗でも吉敷でも石岡くんでもない気がします。あくまで森孝さんが主役です。久々に味わうなんとも言えない読後感でやっぱり島田作品はいいなと強く思える作品でした★2021/02/11