内容説明
太陽が輝き、羊たちが山で気ままに草を食む夏。競売市が開かれる秋。羊を死なせないよう駆け回る冬。子羊が生まれる春。羊飼いとして生きる喜びを、湖水地方で六百年以上つづく羊飼いの家系に生まれた著者が語りつくす。ニューヨーク・タイムズ・ベストセラー
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のっち♬
142
古典的な牧畜方式を採る小さな羊牧場を営んできた三代にわたる著者の家族物語。夏、秋、冬、春と章立てされ、湖水地方の季節の移ろいや動物や人間の息づかいが「ありのままの現実」として詩情豊かに描かれている。急激な時代変動の中で世代間の軋轢や絆、伝統といった人間の普遍性をくっきりと浮かび上がらせており、移動性と個人主義に取り憑かれた産業社会に共同体の一部としての帰属意識の大切さを訴えかけてくる。子供たちに血を見せたり、気の休まらないカオスな出産など、生と死を交錯させながら歴史の重なりや連続性を示唆する終盤は象徴的。2021/12/04
mocha
89
英国湖水地方で代々羊農場を営む一家。四季折々に自然と戦い、時にねじ伏せられながらも羊と共に生きる。幼い頃から祖父に憧れ、ファーマーになることに何の疑問も持たなかった著者。父に反発し外の世界を見るためにオックスフォード大で勉強をするが、羊飼いのDNAが彼を農場へ引き戻す。ここでは生きることと働くことは同義。硬質な文章で淡々と綴られているが、自然の美しさがありありと浮かび、労働の苛酷さと喜びとが伝わってくる。素晴らしいドキュメンタリー映画を観ているようだった。2018/04/28
Die-Go
63
図書館本。友人からのお勧め。イギリスの観光地としても有名な湖水地方で、昔ながらの羊の飼育をしている著者によって描かれた、羊飼いの一年の移り変わりと自らの半生。羊飼いながら、オックスフォード大を卒業していると言う異色の経歴からして興味が惹かれるのだが、本の内容も過去と現在をいったりきたりしつつも読みにくさを感じさせず、むしろその生き方に感銘を受ける。★★★★☆2021/08/21
帽子を編みます
61
湖水地方、羊飼いに惹かれて読みました。私が期待した湖は出てきませんでした。現代の羊飼いはとにかく忙しい、早朝から深夜まで、作者はダブルワークもこなしています。いくつも問題が頭に浮かびます。教育、ティーンのときの勉強を馬鹿にする気分、必要なときにやり直しが出来たのは本当に良かった。口蹄疫、短い一文が本当に辛い、長い歴史が分断された出来事。羊をめぐる様々な問題。羊の出産期、一人でこなすのは肉体的にも精神的にもキツイ季節。家族との関係、辛いことも楽しいことも。彼が羊飼いとして今生きていることが伝わってきます。2023/01/11
ナミのママ
61
著者は1974年生まれ。ピーターラビットで知られるイギリス湖水地方に600年以上続く、羊飼いの家系に生まれ、現在も暮らしています。その生活の歴史と現在を春夏秋冬に分けて書いたノンフィクションです。この本は綺麗な表紙写真の陰には、過酷な自然との闘い、生と死があることを、丁寧な自然描写とともに教えてくれます。生きること、食べ物を頂くということ、人も自然の一部であることを改めて認識します。背筋を伸ばして今日を過ごしたくなる、そんな良書でした。Twitter@herdyshepherd12017/05/29
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