内容説明
部落解放運動の闘士は暴力団の構成員だった。二足のわらじをはき莫大な富と権力を握った小西邦彦。晩年に「飛鳥会事件」で逮捕され失意のなかにこの世を去った。バブル時代には1ヵ月に呑み代1000万円、その力は市行政、警察、税務署、財界にまで及んだ。昭和44年、部落解放同盟支部長に就任、40年の長きにわたりその職にあった。人生の「貧富と清濁」を体現した”極道支部長”の波乱万丈、74年の生涯を描く本格評伝!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
モリータ
8
◆2012年単行本刊、2017年文庫本刊。小西邦彦のなしたことと人となりーいずれも毀誉褒貶ありーを本人へのインタビュー(2006年の逮捕後)や小西に近い人物(解放同盟や市の同和事業担当者、三和銀行の岡野義市、姪など)への取材をもとに描く。森功著とクロスする部分もあるが、こちらを先に読んでおく方が理解しやすいか。◆1969年の同対法施行前における大企連の結成、そして国税局との交渉によって関係者が得た税制上の優遇の数々(申告フリーパス、事業の不課税等)については他書でも言及があるが、信じられないような話。2021/06/02
こぺたろう
7
何かの具合でアマゾンのお薦めに本書が上がって来て、興味を持ち読了。主人公は部落解放同盟支部長の小西邦彦氏。富と権力が、活動過程の中で集まっていく様子が描かれています。全てが自由という訳ではないですが、ヒトやお金の使い方はまるで別世界。逮捕もされますが、一方で、自身の境遇からか、社会福祉に対する活動もされていたり。そういう意味では、魅力のある人物を取り上げた本だと思います。2018/07/22
JunTHR
6
めちゃくちゃ面白くて一気読み。著者による上原善広『路地の子』への徹底的な批判を読み、ならばとこちらも読んでみたが、これはすごい。なるほど、あの批判をするのも納得な取材力&事実関係の扱いの丁寧さ。2018/05/20
せい
4
本書はまさに、見る角度によって様々に表情を変える「文章で打ち立てられた銅像」。やっぱり角岡さんの人物評伝は面白いな〜!!生涯賃金100億円(?)、部落解放の活動家であると同時に暴力団関係者でもある、しかし子どもと老人には滅法優しいという「清濁合わせ呑む」の「清」と「濁」の奔流があまりにも濃ゆく激しすぎる人生を駆け抜けた小西邦彦という男の生き様。ネトフリでドラマ化してほしい。もし自分が彼と利害関係にある部署の大阪市職員だったら?前例踏襲の圧力や脅しに屈せず彼の不正を糾すことができたか?と自問していまう。2023/05/04
シヌイェ
3
人を見るときは多角的な視点を持て、ということと 現代のネット社会の、知らなくてもいい情報まで垂れ流され氾濫している怖さを改めて思い知った。2019/01/18
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