内容説明
海を渡り、新天地へとやってきた12歳の心良(ここら)。そこで心良を待ち受けていたものは、心優しくも異なる文化の中に生きる人々との、想像をはるかに超える日々だった―。思春期に入り、より深い葛藤の中、自分自身とも闘い、混乱し、傷つき、それでも前に進み続ける、自閉症スペクトラム障害という宿命を背負った少女の、心を抉る疾風怒濤の思春期篇、ここに開幕。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
なるみ(旧Narumi)
17
1巻に続いての読書。思春期を海外留学という形でも過ごした著者心良さん。自身と家族、関わった人達と、その時の状況と気持ちのあり様を、穏やかな筆致で綴っているのが印象的でした。なかなかに読ませていただいた一冊でした。2017/01/31
まつり
11
家族のお膳立てによりろくに英語が話せないのに12歳で海外留学。自然豊かな牧場もある家庭で絵空事でない生と死についての体験をしたり、愛情豊かな両親や家庭。おそらく日本では学べないことを学んだだろう。それでもうまく関係性を維持できず2年で帰国。さらに傷つき荒んでいく。自分の中にいる衝動的な彼女=脳と根源的な私が声という俯瞰した存在も交えて対話していく。「どんな子供でも受け入れる覚悟の親の元では愛される存在に育つ。愛されない子供が最初からいたわけではないのだ」という気づきが親としての私にも痛く突きつけられた。2018/04/11
さる
11
前巻よりも成長しているからか、内容が哲学的な部分や、障害の核心に迫る部分が多かった。こういう子達って、狭い日本の更に世界を狭めるルールは合わないはず!留学の理由や、やり方は酷いものがあるけど、凄くいい経験にはなったはず!この続きもとても気になる。2017/08/17
ピンクピンクピンク
8
12歳にして単身海外留学させられることになった心良さん。日本にはない広い世界、互いを想い合う暖かいホームステイの家族との出逢いも、自閉症スペクトラム障害による1次障害(脳の器質的問題によって起きるもの)2次障害(障害を理解されず不適切な対応を受けた結果心理的要因によるもの)、そして成長の葛藤との狭間で苦しみながら、心の声達と対話し人生を考えすごした体験記思春期篇。青年期篇に続く様なので続きを待ちたいと思います。2019/11/06
もあ
4
12歳で少女は異国に追放された。そこで愛情にあふれたホストファミリーに出会うも、逆に混乱し、他者から取り込んだ人格との対話を深めていく。発達障害と精神的虐待がもたらす多重で複雑な内奥を世界で初めて開示した自伝的小説。2017/07/04