内容説明
「骰子一擲(とうしいってき)いかで偶然を廃棄すべき」では、偶然は起こりうるということか。恋人・シルフィーの失踪と背後に見え隠れする宗教団体「奇偶」。2つを追ううち事態は究極の密室殺人、ついには易経による見立て殺人の様相を呈し始める……。偶然と必然という命題に、フィクションの限りを尽くして挑んだ著者畢生(ひっせい)の大作!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
hanchyan@発想は間違ってない
28
太極と八卦・因果と縁起・確率・サイコイド・特殊な建造物での密室…あ、もぅイイすか(笑)。いよいよ謎解きパートが始まって、理を尽くした論議の果てに提示された一応の解決らしきものを一読、めまいがするのはこっち(読者)の方だぞ!て感じで(笑)、そこがなんとも面白い。まあ、「文庫で良かったハードカバーなら壁に傷ついてたとこだ!」って言う向きも多そうだが(笑)、これ投げるならアレやアレも投げなきゃいけなくなるので(笑)…っていう与太はともかく、古今様々な「知」「好奇」に纏わるキーワードをわちゃわちゃに(↓)2017/01/09
らきむぼん
17
『ドグラ・マグラ』『黒死館殺人事件』『虚無への供物』『匣の中の失楽』に連なる第五の奇書。四大奇書を読解していれば、本書がそれらとテーマを同じくした傑作であることは理解できるはず。奇書には各々個性があるが本書は「偶然」を主軸に、徹底的に論じている。同時に偶然はミステリのタブー、アンチミステリとしても奇書の系譜に連なる。作中作も奇書の遺伝子だ。易学に、シュレーディンガーの猫や不確定性原理の量子力学、ユングのシンクロニシティ、確率論。衒学的部分も説明がうまく比較的容易に理解できる。奇書に真っ向から挑んだ傑作。2017/10/08
和尚
10
途中から、訳がわからなさ過ぎる。「奇遇」というより「混沌」だろう。面白い部分もあったけど、これを推理小説というなら、全く面白みを感じない。失敗。2011/02/11
ぶんぶん
6
物理学も心理学も好きだから何とか読了できたもののきつかった。新しい分野に挑戦する心意気は素晴らしいが、あまり人にお勧めできる作品ではないかも。2014/01/13
しろ
5
☆5 頑張った感のでてるメタフィクションだった。「偶然」に関して延々と言及していたが,あまり真新しいことでもなかった。テーマは面白いと思うけど,まだまだ難しい分野かな。2009/05/11




