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内容説明
かつて「科学立国」として世界を牽引した日本の科学とハイテク産業の凋落が著しい。経済の停滞にとどまらず、原発事故のような社会への大打撃を招きかねないイノベーションの喪失。その原因は企業の基礎研究軽視にとどまらず、政策的失敗にあったことをベンチャー支援策に成功した米国との比較から解明する。さらに科学の発見からイノベーションが誕生する原理を明らかにし、日本の科学復興に向けた具体的な処方箋を示す。科学と社会を有機的に結びつける“国家再生の設計図”。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
サンダーバード@永遠の若者協会・怪鳥
121
日本のイノベーションを産む力が低下している。その要因の一つに「企業の中央(基礎)研究所の終焉」をあげているが、これは私の感覚から見ても確かにそうだと思う。実は日本だけではなく米国でもそうなのだが、米国ではSBIRという制度が機能し、ベンチャー企業がイノベーション発祥の場となっている。日本にも同じ制度があるようだが、単なる「中小企業支援補助金」に成り下がっているという。これを防ぐには「技術の目利き」が必要なのだが、わかっていてもそれが出来る才能のある人物は少なく、これはなかなか難しい。★★★★2017/02/21
まーくん
95
失われた10年、20年。バブル崩壊の後、低迷する日本経済。処方箋はいろいろ有るが、効果がある(あった)とは思えない。人口構成など変えられない構造的問題もある。しかし著者は、かつて日本にあり、失われたものとして「イノベーション」を挙げる。70-80年代の不況を経た米国はAT&T等の大企業が基礎研究から手を引き、そこから出た科学者は政府の支援(SBIR)を受けベンチャー企業を立ち上げ、90年代の経済再生につなげた。一方、日本も同様の支援策を試みたが、運用の問題から既存中小企業に対する補助金制度に成り下がった。2022/01/31
けんとまん1007
45
イノベーションに限らず、いろいろな組織自体のあり方について、考察が拡がる。近視眼的、短期的な視点ばかりが目立ち、リスクをとらない姿勢に進んでいること。これが、根本にあるのだと思う。山中先生が、利根川先生からいただいたキーワード「楽しかったらええ」。ここの真の意味を考えるべきだ。2019/09/28
kubottar
26
日本では世界に通用するイノベーションが生まれなくなったと言われて久しい。それはリスクに挑戦しない国に育ってしまったからだと著者はいう。確かに日本の大卒は4人に3人が文系とう科学立国などとは口が裂けても言えない国になってしまった。リスクを避け理系が開発した製品を売る側になったり中抜きする側になるほうが楽にリスク無しで金儲けができる。ただそれを繰り返していくうちに小判鮫の方が大きくなりすぎてしまったのだ。ではどうすればいいかを教えてくれる本。2017/05/15
zoe
23
メモです。山登りのワナ。既知派の支配。学術論文数の低下。創発。似する。似せぬ。似得る。イノベーション・ソムリエ。回遊による知の越境。未知派。土壌の中での知の創造。夜の科学。トランス・サイエンス。研究と開発。研究所から研究者がいなくなる。スター発掘システム。2021/03/31