ハックルベリー・フィンの冒けん

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ハックルベリー・フィンの冒けん

  • 著者名:マーク・トウェイン【著】/柴田元幸【訳】
  • 価格 ¥2,420(本体¥2,200)
  • 研究社(2022/03発売)
  • 夏休みの締めくくり!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~8/24)
  • ポイント 660pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784327492014

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内容説明

★柴田元幸がいちばん訳したかったあの名作、ついに翻訳刊行。
★オリジナル・イラスト174点収録。
★訳者 柴田元幸の「作品解題」付き。

「トム・ソーヤーの冒けん」てゆう本をよんでない人はおれのこと知らないわけだけど、それはべつにかまわない。あれはマーク・トウェインさんてゆう人がつくった本で、まあだいたいはホントのことが書いてある。ところどころこちょうしたとこもあるけど、だいたいはホントのことが書いてある。べつにそれくらいなんでもない。だれだってどこかで、一どや二どはウソつくものだから。まあポリーおばさんとか未ぼう人とか、それとメアリなんかはべつかもしれないけど。ポリーおばさん、つまりトムのポリーおばさん、あとメアリやダグラス未ぼう人のことも、みんなその本に書いてある。で、その本は、だいたいはホントのことが書いてあるんだ、さっき言ったとおり、ところどころこちょうもあるんだけど。
それで、その本はどんなふうにおわるかってゆうと、こうだ。トムとおれとで、盗ぞくたちが洞くつにかくしたカネを見つけて、おれたちはカネもちになった。それぞれ六千ドルずつ、ぜんぶ金(きん)かで。つみあげたらすごいながめだった。で、サッチャー判じがそいつをあずかって、利しがつくようにしてくれて、おれもトムも、一年じゅう毎日(まいんち)一ドルずつもらえることになった。そんな大金、どうしたらいいかわかんないよな。それで、ダグラス未ぼう人が、おれをむすことしてひきとって、きちんとしつけてやるとか言いだした。だけど、いつもいつも家のなかにいるってのは、しんどいのなんのって、なにしろ未ぼう人ときたら、なにをやるにも、すごくきちんとして上ひんなんだ。それでおれはもうガマンできなくなって、逃げだした。またまえのボロ着を着てサトウだるにもどって、のんびり気ままにくつろいでた。ところが、トム・ソーヤーがおれをさがしにきて、盗ぞく団をはじめるんだ、未ぼう人のところへかえってちゃんとくらしたらおまえも入れてやるぞって言われた。で、おれはかえったわけで。
――マーク・トウェイン著/柴田元幸訳『ハックルベリー・フィンの冒けん』より

■タイトルの表記について(本文「解説」より)
ハックはまったくの無学ではないし、学校に行けばそれなりに学びとるところもあるようだから(まあ六七(ろくしち)=三十五と思っているみたいですが)、もし漢字文化圏の学校に通ったとしたら、字もある程度書けるようになって、たとえば「冒険」の「険」は無理でも、「冒」は(横棒が一本足りないくらいのことはありそうだが)書けそうな気がするのである。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

こーた

150
父親は酔っ払いだし、ましてや未亡人に引きとられてお行儀よく暮らすのなんて、まっぴらごめんだ。何もかもイヤになった少年ハックは、小屋をぬけだし、川を下って大冒険へ。道連れは逃げ出してきた奴隷のジム。難破船、決闘、ペテン、脱走。いかだのうえで、川辺の町で、巻きこみ巻きこまれて引き起こす騒動の数々。王と公爵は根っからの詐欺師で、脱走奴隷の手助けは重罪だ。けどジムはいいやつで、彼に自由を与えるのって、ほんとうに悪いことなの?純粋な冒険譚としてなら、子どもでもたのしく読むことができる。(1/3)2018/04/23

buchipanda3

89
ハック少年自らが語る冒険譚。そのためか平仮名多めで若干読み難さがあるが、砕けた喋り口調にらしさが感じられて親しみを持てた。前の冒険後に一変した生活環境に彼は馴染めず自由を求め旅へ出る。気ままな一人旅と思ったらジムと一緒に筏で川を南下。ワイルドだなあ。南部の州は黒人のジムにとって恐怖の地。旧家の争いはフォークナーを想起させた。そして終盤のあの事態の際、ハックの葛藤と決意が印象深い。彼の根っこを見た気がした。トムも良いこと言うと思ったがツッコミをバシッと。大詰めに主役が交代?、いやこれがハックなのだと思えた。2025/08/17

Yamazon2030

69
2020(55) マークトウェインの最高傑作! レポート提出の為に読む。 少年ハックと黒人ジムの冒険!その中に、ユーモアあり・ドキドキがあり、トラブルありで飽きさせない! 背景には奴隷制などの問題にも言及しており、深い! ザ・アメリカ文学!!楽しく読ませてもらいました!2020/10/06

ちょき

68
読メ400冊レビュー記念で古典を読む。大筋忘れたが子供の頃にトム・ソーヤーの冒険を読んだ記憶もあり本作は未読のはず。しかも柴田元幸の新訳となれば、読まぬわけにはいきますまい。どっこい500頁越えの大作、中身がまた濃いのなんの。現代っ子には到底感じようもない牧歌的で原始的で容赦の無いアメリカ創成期の物語。恵まれた環境で普通に生きていける今を実感する。真の大冒険だった。ただトムは面倒臭い(笑)。この作品に出会って良かった。読書中幸せだった。日本人に原書のままの感動を与えてくれた柴田氏に賞賛と拍手を送りたい。2018/02/16

がらくたどん

55
『ジェイムズ』を読むための久々の再読。正直なところ「トム・ソーヤの冒険」ほど痛快じゃないので「『トム・ソーヤーの冒けん』てゆう本をよんでない人はおれのこと知らないわけだけど」で始まるメタ・フィクションだったことしか印象になかった。トムとの冒険の後、謹厳な「未亡人」に引き取られたハックはDV親爺の帰還から逃げるため家出する。一方で未亡人所有の黒人奴隷ジムは「ここより過酷なよその土地に売られる」と聞いて逃亡を図る。そんな孤独な二人のミシシッピ逃避行。ハックの適当言葉と混迷思考で波乱万丈大河の趣・小ぶりな着地♪2025/08/16

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