ハックルベリー・フィンの冒けん

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ハックルベリー・フィンの冒けん

  • ISBN:9784327492014

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内容説明

★柴田元幸がいちばん訳したかったあの名作、ついに翻訳刊行。
★オリジナル・イラスト174点収録。
★訳者 柴田元幸の「作品解題」付き。

「トム・ソーヤーの冒けん」てゆう本をよんでない人はおれのこと知らないわけだけど、それはべつにかまわない。あれはマーク・トウェインさんてゆう人がつくった本で、まあだいたいはホントのことが書いてある。ところどころこちょうしたとこもあるけど、だいたいはホントのことが書いてある。べつにそれくらいなんでもない。だれだってどこかで、一どや二どはウソつくものだから。まあポリーおばさんとか未ぼう人とか、それとメアリなんかはべつかもしれないけど。ポリーおばさん、つまりトムのポリーおばさん、あとメアリやダグラス未ぼう人のことも、みんなその本に書いてある。で、その本は、だいたいはホントのことが書いてあるんだ、さっき言ったとおり、ところどころこちょうもあるんだけど。
それで、その本はどんなふうにおわるかってゆうと、こうだ。トムとおれとで、盗ぞくたちが洞くつにかくしたカネを見つけて、おれたちはカネもちになった。それぞれ六千ドルずつ、ぜんぶ金(きん)かで。つみあげたらすごいながめだった。で、サッチャー判じがそいつをあずかって、利しがつくようにしてくれて、おれもトムも、一年じゅう毎日(まいんち)一ドルずつもらえることになった。そんな大金、どうしたらいいかわかんないよな。それで、ダグラス未ぼう人が、おれをむすことしてひきとって、きちんとしつけてやるとか言いだした。だけど、いつもいつも家のなかにいるってのは、しんどいのなんのって、なにしろ未ぼう人ときたら、なにをやるにも、すごくきちんとして上ひんなんだ。それでおれはもうガマンできなくなって、逃げだした。またまえのボロ着を着てサトウだるにもどって、のんびり気ままにくつろいでた。ところが、トム・ソーヤーがおれをさがしにきて、盗ぞく団をはじめるんだ、未ぼう人のところへかえってちゃんとくらしたらおまえも入れてやるぞって言われた。で、おれはかえったわけで。
――マーク・トウェイン著/柴田元幸訳『ハックルベリー・フィンの冒けん』より

■タイトルの表記について(本文「解説」より)
ハックはまったくの無学ではないし、学校に行けばそれなりに学びとるところもあるようだから(まあ六七(ろくしち)=三十五と思っているみたいですが)、もし漢字文化圏の学校に通ったとしたら、字もある程度書けるようになって、たとえば「冒険」の「険」は無理でも、「冒」は(横棒が一本足りないくらいのことはありそうだが)書けそうな気がするのである。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

こーた

149
父親は酔っ払いだし、ましてや未亡人に引きとられてお行儀よく暮らすのなんて、まっぴらごめんだ。何もかもイヤになった少年ハックは、小屋をぬけだし、川を下って大冒険へ。道連れは逃げ出してきた奴隷のジム。難破船、決闘、ペテン、脱走。いかだのうえで、川辺の町で、巻きこみ巻きこまれて引き起こす騒動の数々。王と公爵は根っからの詐欺師で、脱走奴隷の手助けは重罪だ。けどジムはいいやつで、彼に自由を与えるのって、ほんとうに悪いことなの?純粋な冒険譚としてなら、子どもでもたのしく読むことができる。(1/3)2018/04/23

Yamazon2030

69
2020(55) マークトウェインの最高傑作! レポート提出の為に読む。 少年ハックと黒人ジムの冒険!その中に、ユーモアあり・ドキドキがあり、トラブルありで飽きさせない! 背景には奴隷制などの問題にも言及しており、深い! ザ・アメリカ文学!!楽しく読ませてもらいました!2020/10/06

ちょき

67
読メ400冊レビュー記念で古典を読む。大筋忘れたが子供の頃にトム・ソーヤーの冒険を読んだ記憶もあり本作は未読のはず。しかも柴田元幸の新訳となれば、読まぬわけにはいきますまい。どっこい500頁越えの大作、中身がまた濃いのなんの。現代っ子には到底感じようもない牧歌的で原始的で容赦の無いアメリカ創成期の物語。恵まれた環境で普通に生きていける今を実感する。真の大冒険だった。ただトムは面倒臭い(笑)。この作品に出会って良かった。読書中幸せだった。日本人に原書のままの感動を与えてくれた柴田氏に賞賛と拍手を送りたい。2018/02/16

ヘラジカ

46
初読。『トム・ソーヤーの冒険』を柴田氏の訳で初めて読んだときから、こちらも読むときは必ず氏の翻訳でと決めていた。予想よりは時間が経ってしまったけれど、こうして完訳で挿絵も完備の本を手に取れたのは喜ばしい。やっぱり我慢して待ってた甲斐があった。他の翻訳と比較は出来ないけれど「一番訳したかった作品」というだけあって言葉ひとつひとつを吟味して選んでるように感じ、とてもとても読みやすい。”アメリカ文学の原点”に名訳で触れることができて幸せな読書時間を送れました。どうせならトム・ソーヤーも同じ装丁で欲しいなあ。2017/12/20

たか

37
トムソーヤの冒険の方が有名だけど、実はこっちの方が圧倒的に面白い。B評価2018/01/21

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