内容説明
ベストセラー作家による実戦的創作入門書第4巻。やおい小説のマニフェスト『新・やおいゲリラ宣言』収録。
数多くのベストセラーで知られる栗本薫が、中島梓の別名で雑誌JUNE誌上に連載した小説講座第4巻。やおい・BLとして知られる男性同性愛小説向けの内容ではあるが、天才作家が創作の機微から具体的技術までを余すところなく伝える、創作を目指す者にとり必読の書第4巻。本書には小説道場開始から10年の時が流れた後に、変質していくやおいへの思いと自己の信念を吐露したマニフェスト「新・やおいゲリラ宣言」を収録。また、小説道場の掲載誌「JUNE」の編集長であった佐川俊彦氏の解説を付す。
【著者】
中島梓
1953年東京生まれ、2009年に病没。1977年に群像新人文学賞評論部門を、1978年に江戸川乱歩賞を受賞して文壇デビュー。小説は栗本薫名義で、評論などその他の活動は中島梓名義で発表する。正伝130巻、外伝21巻のグイン・サーガ・シリーズ始め、400点を越える著作が刊行された。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かしこ
2
小説道場連載の10年で世間でのJUNE小説の位置づけは変わった。禁忌の愛から、本屋で大きなコーナーのあるポピュラーなものに、中島梓が役割を終えたと思う気持ちがよくわかる。2019/01/18
ma-no
2
JUNEがBLになるまでの貴重な記録。文庫化希望です。2010/09/02
tsukamg
1
10年続いた小説道場が唐突に終わるまでの数回分と、当時の「やおい界」に物申す檄文が収録されている。明るく楽しいBL ものは本来のあり方ではないのだという主張は、それはそれでわかるが、変化が急すぎて戸惑う。ただ、やはりどんなことがあっても、小説道場を続けていった方が、中島梓=栗本薫にとって良かったのではないか。作者本人に興味がないと読むのは辛い。そして「グインサーガ」末期にも同じ感想を持った。この時期の作者に何があったのかは、謎のままである。2016/01/19
ぐだぐだ
1
明らかに道場主のテンションが下がってるのが寂しい…。きっと中島先生(と初期の投稿者)の方が後期の投稿者たちよりも切実にJUNEという世界を必要としていたという差が小説にも現れてたんだろうな。BL世代としては宣言はちょっと共感できない所もあったけど、中島先生に講評をもらうことによって救われた人たちもいたと思います。最後に榎田さんが出てきていよいよJUNEからBLの時代に突入したことを感じました。すばらしいノンフィクションでした。最後はなんか感傷的になっちゃったよ。2014/06/17
真琴
1
図書館で借りてきました。この頃になると中島梓先生も疲れが見えたのか、批評もあまり熱くはないです。でもこの頃になると、投稿者も今BLで活躍されている作家さんのお名前も出てきて、JUNEからBLへと切り替わる時期なんだなぁとしみじみしながら読んでました。2013/03/21