内容説明
476年、西ローマ帝国が滅び、地中海は群雄割拠の時代に入る。「右手に剣、左手にコーラン」と、拉致、略奪を繰り返すサラセン人の海賊たち。その蛮行にキリスト教国は震え上がる。拉致された人々を救出するための修道会や騎士団も生まれ、熾烈な攻防が展開される。『ローマ人の物語』の続編というべき歴史巨編の傑作。※当電子版は単行本上巻(新潮文庫第1巻、第2巻)と同じ内容です。地図・年表なども含みます。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ハイク
106
西暦476年西ローマ帝国滅亡から1870年までの、主に地中海における海賊の歴史の物語である。アルジェリアやチェニジア等の西アフリカを拠点として海賊が地中海を荒らし回っていた。的はイタリア等のキリスト教の都市国家であった。そして次第にイスラム教徒が北アフリカに勢力を伸ばし宗教戦争が主体となってきた。その中でシチリア攻防は凄まじい戦いであった。また後半では二つの国境なき団体「修道会」と「騎士団」の活躍は凄い。海賊に拉致され奴隷として酷使された相当数のキリスト教国の奴隷救出活動も、現代からすると想像を絶する。 2018/01/31
イノ
32
パクス・ロマーナが崩壊した南欧に、サラセンの海賊が押し寄せる。東ローマ帝国が衰える4世紀から、十字軍が終わりルネサンスが始まろうとする、15世紀までの地中海世界史を語る。長期に渡る海賊のあまりの勢いに、長い葬列を観ているような絶望感を感じた。権利闘争に明け暮れる法王や王侯貴族達に見向きもされない民衆は、殺され、拉致されたくなければ、逃げるしか無い。パクス・アメリカーナ崩壊後、テロリストの横行を許し、大量の難民を排出する現代にも通ずる。そこに救いは有るのか、解決策の手がかりとしても、読んでみたい。2016/10/01
James Hayashi
26
著者がまるで当時現場におられ見ていたかの如く語られる歴史。海賊の話から始まるが、それは地中海でのキリスト教とイスラム教で繰り広げられた戦いの基になっていた事。大きくない帆船で地中海をかなり自在に動いていたと感じる。2020/03/01
俊
24
西ローマ帝国滅亡後の地中海世界を描く。イスラム勢力が躍進したことにより、地中海はイスラム海賊達の海となっていた。キリスト教圏の沿岸地域に住んでいる人びとにとっては、まさに暗黒の時代だっただろう。海賊たちの残酷さは正直読んでいて辛かった。この蛮行が後の十字軍を生む遠因になったのかもしれない。歴史というものは本当に複雑に絡み合っている。非常に厳しい時代において、海賊に攫われた人びとの救出に全力を尽くした英雄達と、寛容な支配を敷いたシチリア王国の存在は、一服の清涼剤に思えた。 2014/06/15
ロビン
20
西ローマの滅亡後、東ローマ帝国ことビザンツ帝国は弱体化しながらも存続し、史上有名な「シャルルの戴冠」により神聖ローマ帝国も成立するけれど、とにかくイスラム勢力の台頭が著しく、キリスト教文明圏はイスラムの海賊たちにほしいままに蹂躙される。そんな中でもシチリアで一時期キリスト教徒とイスラム教徒の平和的共存が実現したことや、イスラム海賊に拉致されて奴隷にされた名もなきキリスト教徒たちを救うために「救出修道会」と「救出騎士団」が結成され、志ある修道士や騎士が粘り強く活動し成果を上げたことなどは美しい挿話である。2022/12/18
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