内容説明
1914年夏、「戦争と革命の世紀」が幕を開けた。交錯する列強各国の野望、暴発するナショナリズム、ボリシェヴィズムの脅威とアメリカの台頭……。ヴィルヘルム2世、 ロイド・ジョージ、 クレマンソー、レーニン、ウィルソンら指導者たちは何を考え、どう行動したのか。日本の進路に何をもたらしたか。「現代世界の起点」たる世界戦争を鮮やかに描く。
目次
はしがき
I 国益といい、自衛という論理
II 「勝利なき平和」における現実
III 古き良きヨーロッパのゆくえ
IV 可能なことと、不可能なことと
あとがき
参考文献
略年表
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
skunk_c
61
原著は1985年とやや古いが、コンパクトで読みやすい。戦争そのものの展開より外交面に重点が置かれており、戦争が終結した後にも目配せが利いている。また、主要人物、特にウィルソンやレーニン、ロイド=ジョージなどの人物像も丁寧に書かれており、読み物としても優れている。イギリスの三枚舌外交や当時のヨーロッパの秘密外交、アメリカで国際連盟が否決されたいきさつ、そして対中国21か条要求からシベリア出兵に至る日本の対外膨張策と、それに対抗するワシントン体制まで、この小さな書に凝縮されている。学生に是非読んでもらいたい。2025/04/06
樋口佳之
59
いまや社会主義者、労働者の国際的連帯は崩れ落ちたのみならず、諸国の社会主義者は政府、軍部が宣伝する敵国の侵略性、文明破壊の非難に共鳴し、自衛戦争という名目に同調し、進んでいわゆる社会愛国主義者となっていった。自己の内なるナショナリズム、自己の外なるナショナリズムの高揚に破れ去った/第二インターを構成した諸国の社会民主主義党、決して取るに足らない勢力でもなかったわけで、この崩落がなければ20世紀は全く違う歩みを残したのかも。ソ連の誕生も無く、二度目の大戦も無く。2021/11/18
姉勤
42
世界各国で頻発するテロと暗殺。100年前に似た空気を感じつつ。1914年。これほどの厄災のトリガーとなるとは誰も思わなかったサラエボのテロ。貧困とルサンチマンの解消を掲げ、「正義」の戦いはロシア、ドイツ、オスマントルコ、オーストリア=ハンガリーなどの古き帝国を滅ぼし、代わりにソ連が生まれ、第二次大戦へ繋がる新たな恨みも生まれた。そしてヨーロッパを餌にして、ドーピングする、日本とアメリカ。交渉や条約、ネゴと裏切りと怨念返しの国際関係を以て読み解く第一次世界大戦。ページの割に濃縮な内容。2016/12/21
かんやん
33
ちょっと古い歴史書で、外交面の記述が中心だけど、実に読ませる。日英同盟に基づいて参戦した日本が、その領土的野心故に連合国から警戒されていた、と(中国侵略と米との対立の端緒)。二月革命時、レーニンはスイス亡命中だったが、露の混乱を狙う独によって、独国内を通って祖国に送り届けられた(封印列車)。ボルシェヴキは革命直後の選挙で敗退し、独裁と弾圧しか権力維持の方法がなかった(12月には秘密警察創設)。ドイツ革命の失敗。言い出しっぺの米が国際連盟に加盟できなかった理由等々、大変勉強になりました。2022/06/05
Shin
26
『夢遊病者たち』がWW1の外交史的な面を微に入り細に入り掘り下げた本だったので、もう少し全体の流れを概観したくて購入。WW1そのものではなく、それを終わらせたボリシェヴィキ・ソビエト革命とウィルソンの国際連盟構想(と失敗)に割かれたページが多くを占めており、戦前にフォーカスした『夢遊病者たち』の良い補完になった。日本人が書いていることもあって、当時の日本がどういう立ち回りを国際社会でしていたかが同時進行形で述べられていて、世界史と日本史の架け橋にもなる。2017/04/02
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