内容説明
遣唐使船に乗り込み唐に渡った日本僧・円仁は、海を自在に駆けめぐる皐の民の力に圧倒され、彼らの手を借りて受難を克服し密教をきわめる。新羅王をも震撼させた皐の民の首領・張保皐、妖艶さと知性を兼ね備えた妓生楼の主・蘭香、したたかな策士の僧・妙珍、最新戦闘船を次々に作り出す天才青年・兵六、美しくそして逞しい女船長・メーカナーなど、魅力的な登場人物が壮大な物語を織りなす。
感想・レビュー
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韓信
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張保皐のユーラシア規模の商業ネットワークを軸に、新羅の内乱と円仁の入唐求法の旅を交錯させて描く歴史小説。円仁は別としておそらく日本で唯一の張保皐の小説なので新鮮な気持ちで読めるし、新羅・日本・唐のネットワークに東南アジアや大食のネットワークを接続させた世界観は気宇壮大だし、山東沿岸などの新羅系住民をふくむ海民(本作では「皐民」)の活動をいきいきと描くのも良い。でもいまいち盛り上がりに欠け、キャラも多彩たが一人ひとりはそこまで魅力的でもないし、創作部分が大きすぎるのも個人的にはいまいちで、なんだか惜しい作品2024/03/17