内容説明
西洋文化のそこここに跋扈する魔王サタン。キリスト教の起源からグノーシスまで、福音書、死海文書、Q資料などを精緻に解読し、不倶戴天の敵=悪魔の肖像を通してキリスト教2000年の最大の謎に迫る。
目次
第1章 『マルコによる福音書』とユダヤ戦争
第2章 サタンの社会史―ヘブライ聖書から福音書へ
第3章 マタイによる反ファリサイ派運動―悪魔を配備する
第4章 ルカとヨハネ、イスラエルの遺産を請求する―亀裂の拡大
第5章 サタンの地上の王国―キリスト教徒と異教徒
第6章 内なる敵―異端者の悪魔化
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
彬
7
悪魔そのものの変遷というよりは「キリスト教の枠組みの中で」悪魔の変化を調べたもの。ユダヤ教から分離したキリスト教は、ユダヤ教内では少数派。結束を強くするために同じユダヤ人を敵対者=悪魔と見、数が増えるに従って悪魔はより内部、同じキリスト者にも向けられるようになったという分析。ちょっと期待していた内容とはずれていたが、悪魔の存在があることで下層民が宇宙規模の戦争に実際に参加している、としたのが大きな意味があったのかな、とか、ウァレンティノス派の教説が以前読んだ本と受ける印象が異なっていたりと発見もあり。2015/09/23
かりあ
6
すごくわかりやすい福音書の話! ★52019/01/30
perLod(ピリオド)🇷🇺🇨🇳🇮🇷🇿🇦🇵🇸🇾🇪🇸🇾🇱🇧🇨🇺
4
第1章。 マルコの福音書の記述に対する歴史性への批判。要するに史実にどれだけ忠実かという事を、イエスが磔刑にされた事実を軸に論じていく。その責任がどこにあるのかと言うことをマルコはユダヤ人にあると強調するが著者はローマの責任、特にピラトゥスの横暴を指摘する。当時のローマはユダヤ人に配慮した統治を行っていたがピラトゥスがその慣例を破ったという。福音書の記述は時代が下るにつれてピラトゥスを温和でユダヤ人に同情的に書くようになる一方、ユダヤ上層部を悪魔化していく。→続く2023/01/20
刻猫
1
「彼らはサタンの手下である」といった言辞の起源と変遷。ある種の実際的な戦略が、その後の神学の流れに繋がっていく面白さがある。2021/04/29
perLod(ピリオド)🇷🇺🇨🇳🇮🇷🇿🇦🇵🇸🇾🇪🇸🇾🇱🇧🇨🇺
1
登録洩れ本。原著は1995年、邦訳は2000年、購入も同年、読了は2007年以前。内容は題名通り、キリスト教における悪魔の起源について、原始キリスト教から異端の発生までのキリスト教史から明らかにしたもの。この本の購入動機は、ある作家との問答による。「日本のキリスト教関係の本で参考に出来るものはない。聖書の日本語訳もずっと批判されている」「ではどうすればいいでしょうか?」「悪魔学から入ることだ。悪魔が分かればキリスト教の神も分かる」しかし今よりも無知だった頃だったので「一先ず読んだ」以上にはならず再読必須。
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