内容説明
仇の子となり奥州藤原氏の栄華を開いた忍ぶ男の戦い。安倍が滅び、出羽の清原一族が治めることとなった奥六郡に藤原経清の妻結有は忘れ形見の清丸とともに留まっていた。清原の嫡子武貞の妻としてである。亡き兄と夫の志を胸に秘め敵方の一族として忍従の戦いを続ける母子の前に源義家が陸奥守として現われる。清原一族の確執が「後3年の役」の嵐を呼び起こす。(講談社文庫)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とん大西
103
奥州藤原氏の栄華へ-とは言っても「愛憎、相克、忍従」-ひたすらそんなワードが行間から滲み出てくるのを感じる読書でした。父・経清の非業の死。経清の無念を忘れ形見である清衡に託した結有の執念と哀傷。20年の雌伏を経て清衡の炎立つ。正に臥竜雲を呼ぶが如く…。が、その代償はあまりに大きく。愛憎と相克、そして狂おしいほどの愛しき人々の死が礎となった黄金楽土。清衡は歩みだす。後戻りの出来ない死地へ、そして父の夢見た楽土へ。魂の残滓を背負いながら。2020/01/11
たいぱぱ
68
物語は父・経清の「炎」を受け継いだ息子・清衡へとシフト。清丸から清衡へと名前を改めた理由にイイね!を押したい。少し舞台チックに感じてしまいますが、それでも清衡や源義家、近習たちの武士道と忠義には胸が熱くなります。ただ結有たちの悲劇的結末は「君が為、尽くす心」では済まされない悲しさを感じます。落ち込んではアホ家臣(名前も出してやらん!)一言ですぐに「目に輝きが戻る」を繰り返す清原-うつけ-家衡をガッーデム!と張り倒してやりたいよ。悲劇的結末が予想される最終巻でどうなってしまうのか?楽しみ半分、怖さ半分です。2020/06/07
さつき
67
この巻は清丸こと清衡が主役。父親が違う弟家衡があまりに嫌なヤツで何度も溜息をついてしまいました。清衡を生き延びさせるために、敵に嫁いだ母結有の人生って何だったんだろう…長い辛苦の果てに兄弟の戦いを見せられるとは!お母さんの気持ちがずっとお兄ちゃんに向いているのを感じてひねくれて育ってしまったのかな…そう思うと家衡も可哀想な人だと思います。兄弟仲が良かった安倍一族が懐かしいです。2019/12/04
アルピニア
61
全五巻の第四巻。物語は前巻から五年後、清経の妻結有が、彼の死後清原貞武の後妻となっていたという衝撃的な事実から始まる。貞武が没した後、嫡男の真衡は恐るべき権謀により反勢力を排し都に食い込もうと突き進むが・・。奥六郡をまとめて楽土を建てるという運命を背負いつつ、結有とともに親の仇のもとで過ごす清丸(清衡)。並大抵の精神では耐えられないことだ。清原一族・兄弟が争い、そして潰された「後三年の役」は、なんとも後味の悪い戦いだった。ついに清衡の時代が来たものの、清衡の「己一人生き残った哀しみ」の涙が胸に沁みる。2021/01/21
kawa
49
前巻から20年経過、藤原経清の嫡男・清衡が源義家の助けを借り、異父弟・家衡を退ける後三年合戦を描く。勧善懲悪はっきりの人物造形や絶妙のストーリー展開が、手に汗を握らされる。かなりフィクションが入っているのだろうし東北の地味な戦い、にも関わらず全くしらける余地がない。著者の「手練の技にやられた」と思わされる秀逸な歴史エンタメだ。2020/03/13
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