講談社文芸文庫<br> あにいもうと 詩人の別れ

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講談社文芸文庫
あにいもうと 詩人の別れ

  • 著者名:室生犀星【著】
  • 価格 ¥1,045(本体¥950)
  • 講談社(2017/01発売)
  • ポイント 9pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784061962910

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内容説明

長い沈潜の後、自らの抒情を封じ、野性の愛を描いて見事に第2の昴揚期を開いた「あにいもうと」(文芸懇話会賞)。深い愛で妻の発病と命の揺らぎを見つめた「死のいざない」。親しい詩人達の友誼と理非を超えたその死を語る「信濃」「詩人の別れ」ほか、「つくしこいしの歌」「庭」「虫寺抄」等。逞しい作家魂とひたむきに追う犀星の美意識が展開する多彩な中期作品群より8篇を収録。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

メタボン

28
☆☆☆☆★ もんのすさまじいまでの罵詈雑言がむしろ痛快な「あにいもうと」「続あにいもうと」。脳溢血で倒れた妻との交流が胸に沁みる「死のいざない」。たおやかな女言葉の手紙で全編が構成される「つくしこいしの歌」。立原道造、萩原朔太郎、北原白秋といった犀星ゆかりの詩人との死別や信濃追分での堀辰雄を描いた「信濃」「詩人の別れ」。植木職人との朴訥としたやりとりと自然の描写が印象的な「庭」。轡虫の死に至るまでを精緻に描写する「虫寺抄」。性格の異なる短編が集められており室生犀星の懐の深さを改めて知った。2016/02/19

みねたか

20
愛の告白を受けた女性が,男と手紙のやりとりを重ねる中で,戸惑いや怖れから結婚の決意へと変わっていく。この過程を女性の側からの手紙のみで描いた「つくしこいしの歌」。嫉妬,独立心など細やかな心模様の描写にうなる。一方「あにいもうと」では,肉親間の愛憎が赤裸々に激しく描かれ,これが人情話にならないところがすごい。また,「虫寺抄」では,螽斯,轡虫などの様が克明に描写され,事物を観察し表現する力に感服。友との別れを描いた「信濃」,「詩人の別れ」もよかった。2017/02/07

しんすけ

18
20代前半まで室生犀星はよく読んだ。 それ以降はこの「あにいもうと」を、三十歳くらに読んだだけだ。それも四十年以上前のことになる。 時代が変わっても誰しもが抱く世界が、この作品に展開されているからでないか。 四年ほど前に石井ふく子が現代風にアレンジしたものがドラマになっていた。 兄は大泉洋、妹は宮崎あおいが演じてた。その時まで大泉洋を役者としては低く評価していたが、なかなかの好演だった。 兄伊之の破天荒だが人情もある憎めない人柄が大泉洋というキャラクターにマッチしていたのかもしれない。2022/03/20

jjm

9
ポルトガルからの帰国便で読む本がなくなったのでKindleにて。いい歳した自堕落兄妹同士の愛憎入り交じる喧嘩芸?短編だが何度もドラマ化されているらしい。妹のもんのモデルは犀星の継母のハツとのこと。気性が激しく、周囲の人とうまくやれなかった人らしい。続あにいもうとの中では前編で激しくやり合った兄伊之は行方知れずという設定になっており、その役割をもんの次男の正が担い、親子でまた激しくやり合う。犀星は家族の在り方を考えていたのだろうか。2023/12/16

9
★★★★★(あにいもうと他全8篇収録。あにいもうと・続あにいもうとは家族という血の濃さ(愛憎)がよく表れており、これを小説に書ききる犀星に凄さを感じる。他にもいい作品が多い。死のいざないには足音も立てずに迫りくるものに対する特殊な空気感・静寂な恐怖と微かな光(月)。そしてそのあとにつくしこいしの歌をもってくるのもいい(深い)、精神的な関係が成熟していく過程がよく分かる。信濃、詩人の別れは友たち(立原、萩原、佐藤、白秋)との死別を描く。この時期の犀星は友を立て続けにとられる。個人的には庭、虫寺抄がとてもいい2011/05/31

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