内容説明
人間の想像力の限界をこえる風景の祖型は一九三七年にあったのではないか。戦後、あたかも蛮行などなかったようにふるまってきた日本人の心性とは何か、天皇制とは何かを突き詰め、自己の内面をえぐり出す。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
さぜん
46
1937年、盧溝橋事件を機に日中戦争に突入する。その後戦火は拡大し、12月に南京攻略。日本では南京事件、中国では南京大虐殺と言われる。辺見氏の父は日中戦争に出兵しており、当時の記憶を聴くことはしなかった。日本は敗戦し、多くの犠牲者を出した。同時に皇軍は加害者となり中国人を殺傷し、強姦し略奪をした。無数の死者の声を私達は無視し、忘れ去っていることを辺見氏は問う。ひらがな交じりの文章がすんなりと読ませてくれない。何度か立ち止まり、考えさせられるのは何か意図があるのだろうか。下巻に続く。2026/02/27
KEI
43
1937年、日本は中国に対し何をしたか?南京大虐殺の詳細を多くの知見と共に自説を述べる。私にとって、自分が生まれる前の過去のもの、そして中国側が発表した被害者数の矛盾(南京の人口より被害者が多い)等により、忘れ去るべき事として捉えていた事が間違いであったと思い知らされた。「殺、掠、姦」という蛮行を許し宣戦布告なき戦争をしたニッポン、その時、自分の父祖はその戦いで何を思ったか、自分だったらどう対応したのだろうかと何度も自問する著者の思いに共感する。現在と何が変わったのか?戦慄する。著者の渾身の力作。2018/11/23
sashi_mono
14
「未来は過去からやって来る」…自壊しつつある現代日本の謎を解くカギは1937年にあると作者はいう。本書は1937年の時代状況を踏まえて、日本および日本軍がおこなった当時の蛮行を炙り出しながら、作家が徹底的に自問をも課す審問の書。「日本論」「日本人論」としても読める。下巻に続く。2019/12/06
呼戯人
13
私たち日本人の心性には、根本的には自滅への願望が隠されているのだろうか。天皇制ファシズムが再び鎌首をもたげ、滅亡への道を生き急いでいるように見える今日、その根本的な日本人の心性を暴き、白日の下にさらしだそうとする辺見庸の試み。彼の掲げる歴史の鏡に映し出されて、日中戦争の始まった1937年を鏡として2016年現在の日本の姿が映し出される。その恐ろしい姿に戦慄を覚えないものがいるだろうか。私たちの心の奥底に流れる「海行かば」の旋律。この奥底の旋律が死と破壊への願望なのだとしたら、私たちには何ができるのか。2016/11/28
さんつきくん
12
1937年日中戦争。中国で盧溝橋事件や南京大虐殺が起きた。支那前線に出征した著者の父はすでに亡くなっていたが、父もこの事件に関与していたのではと疑問を抱いた。従軍記者だった石川達三や堀田善衞が書いた作品を通して、中国で日本軍がどれだけ酷いことをしたかを記すが、これは読んでていたたまれない気持ちになる。目を背けたくなるが、著者は正面から描いた。父が戦後、変わってしまったこと。そして著者の学生時代、学生運動の描写も記される。下巻はどんな展開になるやら。2022/12/29
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