内容説明
大英帝国が産業革命をいち早く達成し、近代の扉を開けたヴィクトリア朝(1837~1901)は、ヨーロッパとは大きく異なる英国らしい「島国根性」的な価値観と美意識が形成された時代であった。日本人にも身近なヴィクトリア朝期の文学・美術・映画などの作品を通じて、英国文化の真髄がわかる一冊。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
k5
72
ヴィクトリア朝ってよく聞くけど何だっけ? という疑問に答えてくれるガイドブック。ヴィクトリア女王自身の手になる絵本から、ディケンズ、テニスン、アリス、ホームズとコンパクトに世相と文化を教えてくれます。とくに警察組織の発展や、殺人事件の報道から謎解きに社会的な関心が高まっている背景でのホームズの登場は鮮烈ですね。おすすめです。2021/04/17
南北
44
ミドル・クラス的な価値観が定着したとされるヴィクトリア朝についてディケンズやテニソン、『不思議の国のアリス』や探偵ホームズなどから解き明かしている。「はじめに」でディケンズの小説『お互いの友人』を引用して英国人が会話の途中で相手の発音を訂正する尊大な態度を示していると指摘しているところから興味深く読むことができた。近年急速に他民族・多文化国家となりつつあるイギリスだが、本書に描かれている階級社会や「島国根性」は今もなお多くの点で残っていると感じた。2021/12/14
ごへいもち
22
この人の既読本に比べるとイマイチ。著者近影で初めてお見かけ、ステキな人だったのがちょっと嬉しい(*^.^*)2016/09/06
Miki
12
ヴィクトリア朝の知識を得るためにと思ったが、かじる程度だった。とりあえずルイスキャロルきめー。2016/12/10
hitotak
11
ディケンズ、ルイス・キャロル、テニスンなどヴィクトリア女王の時代に活躍したイギリスの文化人の著作、その成り立ちなどを紹介している。彼らの作品がなぜ支持されたのかが、時代背景やイギリスの階級社会などと共に解き明かされるが、もう少し詳しい階級間の暮らし方や嗜好の差などの説明があるとよかった。しかし本書で取り上げられている数々の逸話(王室が指名する桂冠詩人の存在、所属する階級の低さゆえに侮られる警官たちなど)は知らなかった話も多く、イギリスならではの数々のトリビアが書かれていて面白かった。2020/10/22