創元推理文庫<br> 修道女フィデルマの叡智 修道女フィデルマ短編集

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創元推理文庫
修道女フィデルマの叡智 修道女フィデルマ短編集

  • ISBN:9784488218119

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内容説明

法廷弁護士にして裁判官の資格を持つ美貌の修道女フィデルマが、もつれた事件の謎を痛快に解き明かす傑作短編集。巡礼として訪れたローマの教会で、聖餐杯のワインを飲んだ若者が急死。居あわせたフィデルマが急遽謎を解く「聖餐式の毒杯」、殺人の疑いをかけられ窮地に陥った幼なじみを救うべく奔走する「ホロフェルネスの幕舎」、偶然立ち寄った宿の幽霊騒動に巻きこまれる「旅籠の幽霊」、アイルランドの大王(ハイ・キング)の王位継承をめぐる事件に挑む「大王の剣」、アイルランド代々の大王の廟所で起きた不可解な殺人を解決する「大王廟の悲鳴」という、バラエティ豊かな5編を収録。/解説=村上貴史

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

400
5つの短篇を収録するが、邦訳の同シリーズでは初の短篇集。7世紀アイルランドの修道女にして上位弁護人の資格を有するフィデルマが、難事件をいとも鮮やかに解き明かしてゆくというスタイルを採る。物語の舞台が7世紀なので、当然のことに科学的な捜査というのはありえない。したがって、もっぱら物証ではなく心証を積み重ねていくことになる。読み物としては実に面白いのだが、他の人物たちは全て7世紀人、そして一人フィデルマだけが覚めた現代人であるかのようだ。あたかも屈原の「衆人皆酔ヒ、我独リ醒メタリ」の如くである。2018/09/03

紅はこべ

102
『アイルランド幻想』の作家の本格ミステリ。『アイルランド幻想』がよかったので、こちらもアイルランドものとしても、ミステリとしても楽しめた。万聖節と万霊節の違いもわかった。幼なじみに対する態度を見ても、フィデルマは意外と冷徹。『クリスタルドラゴン』以来、アイルランドものは好き。このシリーズはとりあえずは短編集から攻めようかな。長編は上下ばかりで、ちょっと時間が…。2018/05/14

榊原 香織

72
なんたって主人公の設定が凄い。7cアイルランド、修道女にして法廷弁護士、ラテン語も堪能、非常に知的、しかも徒手武術(トゥリッド・スキアギッド)にも長けているらしい。 本格推理短編集 シリーズ物 著者はケルト文化の研究者でもある。安心して読める。ハマりそう2022/12/01

ぽんすけ

39
フィデルマシリーズの短編集。一話の分量も手頃なもので、寝る前やスキマ時間に一話完結で読み切れて良い。この当時のアイルランドの法体系や信仰の在り方って、すごく理想的なものだと現代を生きる私には思えるのだけど、時代はローマ教会による変革の波の只中にあって、民俗と風土によって培われてきた習慣や伝統が、新しい文化に押し流されていこうとしてるんだな。と惜しいような寂しいような気持ちになる。女性でありながら法廷弁護士であり裁判官でもあるフィデルマが自分の才能を思う存分発揮して、事件を解決していくのは痛快である。2022/11/23

瀧ながれ

31
7世紀のアイルランドを舞台に、法廷弁護士でもあるキリスト教の修道女フィデルマが、殺人やなんやらの謎を解く第一短編集。法はキリスト教を柱にして四角四面な理性的に整えられつつあるのに、日々の生活にはケルトなどの迷信や魔術的な影響が色濃く残っていて、その混在具合が、西洋が入ってきたころの日本を思わせて(風景はまったく違うのだろうけど)興味深い。容疑者とあれば旧知の友人が相手でも揺らがずに分析にかかるフィデルマの冷静さが、頼もしいとともにちょっと怖いです。長編になると別の表情も見せてくれるのでしょうか。2016/10/31

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