内容説明
波の音が聴こえる海沿いの家で、老境に達しようとする男が、自らの人生に思いをめぐらせている。
そこには毒がある。蜜もある。禁断と倒錯のエロティシズムの果てに、甘くて危険な秘密が横たわっている……。
純文学作家として高い評価を受けながら、バイオレンスロマンの流行作家へ華麗なる転身を遂げ、官能文学の第一人者として長く君臨している作家・勝目梓。
近年は『小説家』や『老醜の記』などの私小説でも高い評価を受けている。
「さながら古酒の樽の栓を抜いたような、風味豊かな独白体」
逢坂剛が「朝日新聞」書評で作品を絶賛したが、石田衣良、小池真理子、山田詠美、重松清、北方謙三など、その作家性にリスペクトを寄せている作家も多い。
八十歳を超えて、さらに円熟味と凄みを増し、デビュー40年記念作品として書き上げた短篇集の「あしあと」に続いて、本格的な書き下ろし作品を発表する。
近親相姦、同性愛、SMなど、禁忌の性愛も描きながら、小説ならではのカタルシスに誘われる。
本物の作家による衝撃の長編小説である。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
147
勝目梓は、昔バイオレンス物を結構読んでいて、最近新作中心に読んでいる作家です。本書が著者の官能文学の最高傑作だとは思いませんが、純文学的性遍歴小説といった感じでしょうか?主人公は性の巡礼者かも知れません。本書が話題になったり、売れたりしない事は、ほぼ確実ですが、今年話題になった蓮實重彦の「伯爵夫人」よりも、上質の官能文学ではないでしょうか?【読メエロ部】2016/10/17
鱒子
70
図書館本 南房総のマンションで性的妄想の奇怪な絵を描きながら余生を送る男。彼の性生活を中心とする一代記です。 異性を匂わせる母、大学進学で上京、ボクシングと演劇ーー設定が五木寛之著「青春の門」にすごく似ています。オマージュ作品なのかな。2020/02/16
読書家さん#lfJKjP
36
勝目梓著の作品読了は「あしあと」とこの異端者ですが蛸壺から抜け出せないという表現が凄く良かったです。蘭子と誠一郎の生い立ちお互い男女でありながらも同棲愛、又蘭子に至ってはバイセクシャル的な癖もあり楽しめる作品でした。壇蜜さんオススメとの事で手にとった次第ではあります。 2023/05/05
イノ
19
勝目さんの作品出だから、バイオレンスかと思ったら、官能小説なんですね。 ただ、良い意味でも逆の意味でも、全然嫌らしく無いですよ。性的な作品の中に、近親相姦を持ち込むと、よほど繊細に描かないと読者の共感を得られないと思います。週刊文春で紹介されていましたが、紹介文ほど、深い意味を汲み取るより先に、嫌悪感が充満して、仕舞いました。2016/12/18
kawa
14
あの勝目氏も80代。「あしあと」も読ませていただきましたが、創作意欲が衰えないのが凄い。今回は私の的からははずれ気味、「官能文学の最高傑作」とは思えませんが、しかし、今、読めて悪くなかったかも。2017/02/12
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