内容説明
憲法を読んでみよう。あえて法学の作法を用いず私たちがふだん使っている「日本語の文章」として。そこに綴られた言葉の奥に、どんな叡智が込められているのか。民主主義・平和主義・表現の自由の原点に立ち返る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
calaf
14
日本国憲法の国民主権、平和主義、基本的人権の尊重(特に言論の自由)は全て「言語」に関する項目。これを読み解くことで、戦後の時代精神を考える...という本らしい...見方は結構新鮮で、なるほどという部分も。でも、え?と思うような部分もあるかな...それなりに楽しめました。2016/10/02
樋口佳之
9
たとえば結婚相手を選ぶ場合、優しくて顔がよくてお金持ちの相手がいいと思っても、そんな人はそういません。そうなると、条件のうち何をいちばん重要視するか、逆にどの条件を捨てるかという決断を迫られます。このように人間は誰でも日々、ワンパックの選択をこなしながら生きています。そして選挙も人生におけるいくつものワンパック選択の一つにすぎません。/戦後の時代精神としての憲法を読むなら、もう少し文学部っぽく掘り下げて欲しかったかなあ2016/09/21
フム
8
日本文学として日本国憲法を読むというのがおもしろかった。「『陰翳礼賛』が戦前の時代精神を表しているなら、戦後の時代精神について考える作品は…とたどり着いたのが日本国憲法」というのがなんともひざを打った。江戸時代は太平の世を目指し、内戦も少なかった。幕末以降に一転して戦争国家に変わる。それは過激な尊皇攘夷思想が明治政府のベースにあること。それがその後の政治指導者に受け継がれ、太平洋戦争へ、安倍政権へと続いている。ヘイトスピーチなどに表出する外国人差別もその辺りに根があるとしたら説明がつく気がした。2016/10/07
びすけっと
7
2016年8月刊。新聞読書欄記事&著者インタビュー記事つながり。日本国憲法、とりわけ前文について日本語文法の視点からその意するところを読み下した本です。聞き慣れない単語があったり、複文や重文があったりするので、取っ付きにくいけれども実はとても良く練り上げられている文章であることが分かりました。(そりゃあ、憲法ですから、当然ですが)。憲法改正が現実味を帯びる中で、「憲法とは国のあり方の理想を高く掲げるもの」という著者の考え方に共感しました。現実に即するのではなく、私たち国民が掲げる理想が憲法に納得!2016/10/26
Takao
4
2016年8月10日発行(初版)。東海大学文学部でおこなわれている「日本国憲法を読む」という講座を収録。巻末に日本国憲法全文を付す。文学部の講義で日本国憲法を文学(?)のテキストとして選ぶという発想が面白かった。著者は「日本国憲法が戦後の時代精神を考えるのに絶好の教材」という。おもしろく、一気に読むことができた。2016/09/02
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