内容説明
北は北海道から西は四国、長崎、南は沖縄まで、出合ったうまい物の思い出の数々。気のきいたものから、裏通りの何気ないうどんまで。取材の裏に食の影あり。旅先の朝は市場がよい。東京にも、旅はある。吉祥寺で鴨肉に舌つづみ、下町浅草にも訪う店は少なからず。口福、そして居心地。蘊蓄無用の紀行集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐々陽太朗(K.Tsubota)
65
住むところの近くに行きつけの店がある。その店はいわゆる高級店ではなく、安くてうまい店である。蕎麦屋では酒を飲む。旅先でも、その町その町にうまい店を知っている。食事付きの旅館には泊まらない。どこでもありきたり料理しか出ないからだ。ホテルに泊まり街中にあるうまい店に出かける。朝飯はその町の市場に出かける。市場の周辺の店は、食材を知り尽くした玄人相手の店だけに、材料、味、値にウソが無い。客に気を遣わせるような偉そうな店主のいる店には行かない。人におもねることはしない。吉村昭氏はそうした人だ。手本としたい。 2013/11/28
タツ フカガワ
60
「私は、酒は好きだが、食通とは無縁の男である」という吉村さんが、「咀嚼しながら嬉しくなって笑い出した。なんといううまさだ」と書くのは、長崎県野母崎町のカマボコ工場でできたてを試食したときのこと。他にも宇和島のうどん、岩手県田野畑村のジャガイモ、沼津市三津のシラスめしなど、読み進むほどに腹の虫も鳴けば喉も渇く食エッセイ。ユーモアと優しさ溢れる吉村さんの文章がいい味出している。2024/04/29
shincha
41
小生の父と同世代の吉村昭氏、羆嵐や戦艦大和、破獄など何作か読んだがエッセイは初めて。吉村昭さんの人となりが良くわかり、楽しく拝読。父もそうであったが、戦後の食糧難を実体験として知っている世代の方々は、食べ物を大切にする。小生も江戸っ子気質のある父から色々と影響を受けていると感じる。いくら美味い店でも無愛想で偉そうな店主の店には二度と行かない。雰囲気も味の一つである。うんちくを言い、飲みたい物を出さない店にも二度と行かない。客の雰囲気の悪い店にも二度と行かない…ん?これって頑固親父って事か?☺️2025/04/22
mondo
35
吉村昭のエッセイには、食や酒に関するものが多いが、旅と食、酒をまとめた一冊がこれ。吉村昭は平成18年7月31日に逝去されたが、墓は越後湯沢にある。この地に別荘を持ち、多くのエッセイもこの地で執筆された。先日、氏の墓参りに行った折に蕎麦屋に入った。「食と酒 吉村昭の流儀」を書いた谷口桂子さんに紹介してもらった「しんばし」という店てある。つまり、氏が好み通った店だ。そんな旅の思い出をブログにしました。https://mondo7.hatenadiary.jp/entry/2022/07/20/175037
り こ む ん
29
吉村昭氏の味のエッセイ。とにかく庶民的。そして、酒。個人的には、余計な味の表現がないのがうれしかった。まどろっこしいワインの様な表現があると…うまいんだか?不味いんだか?てんて想像できないのだけど、氏の表現はシンプル。本当に美味しくて、嬉しいんだな。と、感じる。氏にとっての「美味しい」は、人、雰囲気、値段。それを含めての味なのだな。分かるような気がする。2014/01/17
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