内容説明
日本人は江戸時代になるまで思うように魚を食べられなかった。 不安定な漁獲、保存と輸送の難しさから滅多に食べられなかった魚。食べられないからこそ何としてもうまく食べたい、その執念が知恵を絞り、工夫を重ねて、江戸前魚食文化に結実したのである。 本書は日本人なら知っておきたい江戸前魚食のルーツと完成にいたるまでの全歴史をあますところなく紹介する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
るるぴん
4
江戸での魚食の食文化を丁寧に追った本。江戸の都市づくりで人口集中、専売人、魚河岸誕生、幕府への納魚、外食の発展と保存食の知恵と工夫。町文化の発展に伴い、江戸前寿司や料理といったグルメ食の基礎となったことなど網羅されている。丁寧さ読むと読み応えあるのだが、飛ばし飛ばしで拾い読み。時間がある時に、気になる箇所ごとにゆっくり目を通したい本。江戸時代、街歩きしたら喧嘩もあちこちで見世物的にやってたりして活気があって楽しそうだなぁ。魚を内蔵まで無駄なく食べる工夫とかザ.日本!を再確認。2023/06/20
Hirotaka Negishi
4
分野は違えど、よく書けている本はいつ読んでも感銘を受ける。 事実の再構成、様々な歴史の観察等を基礎に、著者の興味と知識が触媒となって、江戸前の魚とそれを取り巻く漁民の生活を活写する。テーマそのものも面白かったが、本の構成が良くできていて参考になった。草思社というのは、テーマ、本の構成がすごく上手な会社と感じる。 あ、本の感想でなくなってしまった。2017/01/29
かんな
4
読んだ勢いで寿司屋に( ̄▽ ̄)行ったつもりでサバ缶開ける。2017/01/19
圓子
3
ところどころの「日本すげえ!」がちょっと疲れる。こうなるともう歴史的考察は眉唾ものとして読んでしまう。日本といっても関東のといっても江戸近郊のことなんですね。タイトルに偽りはないか。猫マタギなんて言葉があるが、脂が早くにダメになるからなんですね。巻末の魚図鑑は愉快。「蛸は畑に入って芋を食う」なんて、どうしてそんな話になったのか。2018/04/21
Humbaba
3
日本人は魚をあますところなく全て食べつくす技術を持っている。それは、昔の日本人にとって魚というものがとても貴重なものであったことを示す証拠でもあるといえるだろう。全てを食べ尽くすのは環境がそれをさせたとも言えるが、そのことは決して不幸なことではなかった。2016/07/18