内容説明
一体、いつから日本の政治はこんなにダメになったのか。そもそも、かつて日本にはすぐれた指導者がいたのだろうか。そんな疑問に答えるべく、伊藤博文から安倍晋三まで、歴代首相全62人の経歴、人柄、功績を百点満点で採点。明治維新からアベノミクスまで、日本の近現代史の局面における責任の所在を炙り出す。井上馨から小沢一郎ら、首相にはなれなかった実力者列伝も併録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
カブトムシ
21
「総理の値打ち」は福田和也さんというスーパーマンのような人が伊藤博文を91点で1位に選んでいます。原敬が73点で、近衛文麿は17点、東條英機は52点、吉田茂は占領中が68点で独立後27点です。岸信介は81点で、田中角栄は57点です。小泉純一郎は、平成14年が29点、平成17年時点が27点です。小泉総理が「平成の浜口」ならまだしも、「平成の近衛」にならないことを国家と国民のため祈るしかない。と結ばれています。福田和也さんはイラク戦争開戦時にも適切な発言をしていたのを思い出します。(2006年当時の私の感想)
skunk_c
12
予想通りというか、当然というか。保守論客を自認するだけあり、岸信介を極めて高く評価。とにかく自主憲法作らないと日本の「真の独立」はないという立場が特に戦後首相の評価にはっきりと現れている。岸の政敵吉田茂の、特に施政権回復後の評価の低さといったら。そして当然のように安倍晋三は比較的高く評価。でもその内容がねぇ。選挙制度の問題などを一切捨て置いて論じられても、ただの現状追認。さらに安倍首相が岸信介の遺志を引き継ぐ「アメリカと対等の同盟化」が実質アメリカの下で軍事行動できる仕組み作りに過ぎない点には全く触れず。2016/10/24
しびぞう
6
昨今の田中角栄ブームに見事な一石を投じている。222頁の3.11当時の総理を評する「今現在、日本が存在していることが不思議なくらいである」という箇所には、ブラジルまで到達する穴が掘れそうなほど激しく頷いてしまった。現総理への評価が存外に高かったが、確かに、事の運び方がよろしくないだけで、運ぼうとしている方向が間違っているとは言い切れない故にその評価には賛同する。現代に求めるのは角栄より西郷さんだろ、と言いたいところだが、西郷さんは500年に一人の人材なので、角栄の方がお求めやすいというのが実際だろうか。2016/09/27
いのふみ
4
弥縫策ではなく、長い目で見たときにどういう評価になるか、という視点。その時仮に社会が窮地に陥ったとしても、後々有益であることがわかれば評価は高い。また政策だけだはなく、政治闘争をしたかどうかということも評価軸として存在している。平成以降の人材払底ぶりが五・一五事件以降の暗い世相を思い出させる。この言葉は重い。事実、それ以降になると政治的評価というよりも、イジりにかかっているかの如く。つくづく明治の元勲たちはすごかった。流れが頭にあればもっと理解できたし、楽しめただろう。2020/03/16
Hachi_bee
3
点数に偏りを感じた。著者の @TONKATUOOJI 氏は「ファシストのパンク右翼」を自称する(していた?)とのことで納得。「はじめに」前半に書かれていることにはある程度納得できるけれど、評価基準の解釈は著者の主観に過ぎないことを意識して読まなくてはならない。良心的な著者なら、「はじめに」に、せめて「おわりに」にその旨を明記するべきと思うが、ない。いいとこのおぼっちゃま達の思想を代表しているのかも知れないと思ってしまう。2018/07/22