内容説明
家督とお鳥見役を継いだ珠世の長男、久太郎に密命が下る。かつて父と夫も務め、二人のこころと家族に深い傷を残した、あの陰働き。他国の不穏な動きを探るうち、久太郎は行方知れずに。留守を預かる珠世と嫁の恵以は不安が募る。そんな矢島家をあの世から心配したのか、一回忌を迎える久右衛門の幽霊がさまよっているという。家族の情愛の深さと強さを謳う、大好評シリーズ第六弾。
感想・レビュー
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mocha
73
初盆を迎えての幽霊騒ぎ。皆、怖がるよりも会いたがる様子なのが、この家族の愛情深さを物語っている。そして、代々拝命してきた陰のお役目がついに長男にも。やがて起きてしまう悲劇。つらくてもまず人を思いやる珠世の本当の賢さに感じ入る。突拍子もないことをしでかす石塚家の子どもたちや、居座り続ける登美伯母さまは、面倒くさいながらも和みの存在。で、いつまで居候するのでしょう?2019/07/20
優希
49
久太郎に下る密命。留守を預かる珠世と恵以が切ないですね。家族の情愛を感じます。珠代の笑窪が物語の救いです。2022/01/25
はつばあば
39
いつになれば珠世は心穏やかに暮らせるのか。妻になり母になり・・子や亭主に想いを馳せるのは誰しもの事。しかし、これほど賢い、情の深い人を選んだ伴之助は果報者だ。もう遅いが爪の垢でも煎じて飲みたい。子を案ずる気持は死ぬまで続く。2015/01/27
フキノトウ
26
お鳥見役の久太郎に下された影働きの密命。密命が下るのは、跡継ぎの子どもが出来てからだったのに。時勢が変わってきたのかな。2019/10/25
nyanlay
5
切ない。ホントに因果なお役目。珠世のえくぼが救いになるのはほんとわかる。2021/05/17