内容説明
技術で事業を強くする。技術力で勝負するための原則と戦術を完全網羅。知的財産立国・日本の戦略。
目次
第1章 知的財産経営とは何か
第2章 事業競争力を高める知財活動環境の構築
第3章 研究開発における知的財産戦略
第4章 事業戦略に適った知的財産権の形成戦略
第5章 事業を強くする知的財産活用
第6章 技術の国際標準化戦略
第7章 アライアンス(提携)戦略
第8章 紛争の予防と解決の活動
第9章 知的財産立国、技術立国への論点
著者等紹介
丸島儀一[マルシマギイチ]
弁理士、金沢工業大学大学院知的創造システム専攻教授、日本工業大学専門職大学院技術経営専攻客員教授。1960年早稲田大学卒業、キヤノンカメラ株式会社(現キヤノン株式会社)入社。1983年取締役特許本部長、1989年常務、1993年専務、2000年~2009年顧問。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kochi
24
知財の関係者なら知らない者はいないと思われる著者による知的財産戦略の要諦。知財の一担当者からキヤノンという大会社の専務にまで登りつめた方だから、学者の本にはない、地についた内容が特徴。ただ、単に真似しようとすると火傷をしそうな気もする。例えば、技術系企業にとって「一時的に競争に勝ったり負けたりするのは…恐れるほどのことではない」とし「最大の脅威は、技術の変化や進歩により事業が根底から覆されることてある」というのは、キヤノンだから言えるかも…2013/03/31
Don2
8
今、私の中で知財戦略が熱い。洋書の良書インビジブルエッジは知財(刃)の事業優位への重要性を解説する本で、名刀案内といった趣だった。対して本書は刀の扱いを学ぶチャンバラの実践書に近い。例えば、攻め/守りの権利の話。守りの権利=自社事業遂行に必須の権利、攻めの権利=他社の事業遂行を阻む権利で、知財部門は攻めの権利を使い他社と交渉し、守りの権利遂行に必要な権利の利用権を獲得せよ、とある。この“攻め/守りの権利”は私の知る最も明確な研究開発指針の一つで、関心する事しきり。技術経営に興味のある方にもおすすめの良書。2024/03/24
りょう
7
この本は、一個人の経験を、『事業で勝つ』という軸で、知財戦略についてブレることなく語りつくすという、なかなかすごい本。 本書で取り上げられている事例・戦略はある程度一般化して語られているけれど、これはもちろん氏のキヤノンでの経験からきているものだろうし、その経験を惜しみなく披露してくれます。メーカー勤めの方ならきっと面白いと感じられると思います。めっちゃ『濃い』本です。2014/03/03
fukurou3
2
著者の経験した事例がわかりやすい。自社やライバルの持つ特許を要素技術・技術課題を軸とした平面状にマッピングし、強み・弱み、相手の動向を分析。強い相手には、自社のコア技術には直接関係はないが、相手が欲しいと考える技術・必要な技術を特許で抑える攻めの特許。自分のコア技術は相手に押さえられないよう特許で守るか、場合によっては秘密を守り抜くことが必要。なお、ここでいう自社の特許の強み・弱みは、SWOT分析の機会・脅威に近い意味で使われているようだ。2012/08/23
IGBB
1
知的財産を契約条文の視点ではなく、一段上の視点、事業を強化するための知的財産戦略とはどうあるべきか、を追求している本である。非常に骨太の書である。中小企業、ベンチャーの知財戦略についても頁を割かれているが、全体としては大企業の知的財産戦略に最も資する内容ではないだろうか。秘密保持契約の項に記載されている内容は、他の書よりも突っ込んだものとなっているが、ここで著されている表現をそのまま使えるようになるには、「攻めの権利」「守りの権利」「三位一体」が高いレベルで構築されていないとならないだろう。2021/02/28