内容説明
鎌倉の片隅に佇む「おやつ処みなと」の正月。売れない小説家の柚琉はアイス作りの達人・犀川さんや妹、幼馴染みとともにカルタに興じていた。だが、そんな平穏な日々に16年前に失踪した父の影がちらつきはじめ――
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はつばあば
47
今時の男の子?ってこんなにあかんたれ?いやいやネガティブって言うのかしら。確かに人の命のやり取りができるなんて怖いわ。しかも死神さんが恐ろし気な顔で傍にいられては・・。それでも傍に気にかけてくれる人がいるって有り難いことです。それが柚琉にもわかっているから皆の食事の用意をする・・。大切な人との普段の食事、最高の幸せだと思います。家出中のお父様がチラチラと柚琉の頭をよぎる。お父様のおっしゃる「特殊な力を持っている者の定め」・・無い者の僻みかもしれないが、重たいねぇその言葉2019/09/02
はつばあば
44
再読。読む環境でレビューも変わる。親が亡くなり家族が・・両親や兄弟、娘達が盆正月集まってわちゃわちゃしなくなると、この湊家に集まってくる深町や津守の傍若無人な姿に羨ましくなる😄。そう、この湊家はなんやかやとあるけれど彼らにとって実家みたいなものかも。親はいなくても子は育つといいますが影のような犀川さんがいいポジションにいてくれるから和花も健気に育っています。人に命を与えられるものならいくらでもどうぞと言えるのは人生に飽いた私くらい。また高齢者にとっていくら長生きしてくれって頼まれてもこれだけはねぇ。2023/11/05
佐島楓
42
柚琉がいい歳になってもふらふらして鬱っぽい理由がよくわかった。このきょうだいが抱えて生きていかねばならないものも。真摯な物語なので、読了後の感触があたたかく、不思議と明るいのが救いです。2016/09/16
よっしー
27
良く分からない…と思いながらも続いて読了。長年行方をくらましていた父親との過去、その内容がより詳細に書かれていて…そりゃ確執も出来るなと思ってしまいました。そう思ったら、柚琉も和花も真っ直ぐに育ったんだなと感じました。にしても、頼りない部分の多すぎる柚琉ですが、周りが見えすぎる結果として自分自身の首を絞めているのでは…と感じる事も多かったです。もう少し楽に生きれたら良いのにと思ってしまいます。2023/11/03
よっち
25
「おやつ処みなと」での腐れ縁で集まる毎年恒例のお正月行事。相変わらずな柚琉にも転機が訪れる中で、これまでなかった柚琉を指名しての延命の依頼が舞い込む第二弾。柚琉に何かあるたびにネガティブ思考がいろいろ発動するのは相変わらずでしたけど、丁寧に描かれる彼らの関係はとても貴重なものですし、大切なものは当たり前になってしまうとなかなか気づけないものなんですよね。面倒見がいいなあと思っていた深町も、チケット話とかご飯の話とか、言いたい放題に見えて実はいろいろ苦労してたんだなとちょっと同情。いつか報われるといいなあ。2016/10/30