岩波新書<br> 原発プロパガンダ

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岩波新書
原発プロパガンダ

  • 著者名:本間龍
  • 価格 ¥902(本体¥820)
  • 岩波書店(2016/08発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784004316015

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内容説明

世界有数の地震大国日本になぜ54基もの原発が建設され,多くの国民が原子力推進を肯定してきたのか.電力料金を原資とする巨大なマネーと日本独自の広告代理店システムが実現した「安全神話」と「豊かな生活」の刷り込み.40年余にわたる国民的洗脳の実態を追う,もう一つの日本メディア史.

目次

目  次
   はじめに

 序 章「欺瞞」と「恫喝」
    「プロパガンダ」とは何か/ヒトラーの「反省」/日本における結実/原発プロパガンダを流布したメディア/原発プロパガンダのキャッチフレーズ/二兆四〇〇〇億円の宣伝広告費/ 「刷り込み」を担った広告代理店/原発立地県と消費地で異なるメッセージ/東京電力広告費、膨張の歴史/原発広告の特異な二面性/広告こそ原発プロパガンダの力の源泉/原発プロパガンディストたち/原発プロパガンダの構成要素
 第1章 原発プロパガンダの黎明期(一九六八~七九)
   最初の原発広告 福井新聞(六八年)/福島でも原発広告の掲載開始/一九七四年、朝日新聞に出稿開始/電通の圧力でテレビ局を退社に追い込まれた田原総一朗氏(七六年)/続々と稼働する原発/最初の警告 スリーマイル島事故と新聞出稿(七九年)
 第2章 原発プロパガンダの発展期(一九八〇~八九)
   飛躍的に増加する出稿/原発先進県 福井と福島の相違/チェルノブイリ事故を越えて(八八年)/それでも出稿が伸びた東奥日報(八六年)/ 『広告批評』天野祐吉氏の警告(八七年)/ローカルテレビ局への圧力①「核まいね」事件(八八年)
 第3章 原発プロパガンダの完成期(一九九〇~九九)
   洗練され完成へ向かう広告パターン/原子力PA方策の考え方(九一年)/原子力ムラの広報官/原子力の日ポスターコンクールの開始(一九九四年~二〇一〇年)/ローカルテレビ局への圧力②「プルトニウム元年」事件(九三年)/巻原発住民投票(九六年) 新潟日報の意地/推進派の宴会をスクープ
 第4章 プロパガンダ爛熟期から崩壊へ(二〇〇〇~一一)
   三本柱のPR体制/意識的にニュース番組を提供/ 「原発はクリーンエネルギー」という虚妄/東電トラブル隠し(〇二年)とテレビ番組スポンサード戦略/著名人を起用したテレビ・ラジオCM/NUMOの欺瞞/有名雑誌を総なめに/東京電力福島第一原発事故によるプロパガンダの停止(一一年)/福島第一原発事故の衝撃/証拠隠滅に躍起になったプロパガンディストたち
 第5章 復活する原発プロパガンダ(二〇一三~)
   神話の崩壊と復活への胎動/ 『週刊新潮』に掲載された原発広告/原発プロパガンダの変容/原燃と原研の欺瞞/ 「安全」神話から「安心」神話へ/環境省の説明/ 「なすびのギモン」/政府広報一五段「放射線についての正しい知識を。」広告/ 「風評被害撲滅」という合言葉/大規模な放射線リスクコミュニケーションの展開/博報堂とADKの「変節」/復興予算と広告/突出する讀賣新聞/電力会社原発広告の復活/際立つ中部電力のメディア出稿/復活する原発広告の真の狙い/新たな錦の御旗/原発プロパガンダに抗するために/広告代理店システムと大手メディアの限界
   資料(日本原子力産業協会 会員名簿)
   参考文献
   おわりに

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

kinkin

77
電力会社や電気事業連合会がいかに多くのマスメディアを使い莫大な広告料を使い原発の安全性などを流布してきたかということがよくわかった。原発プロパガンダの定義から時系列的に広告の手段やその内容についても言及されていた。新聞の一面を使って有名人が原発に対する疑問を電力会社との間でQ&A式で載せられているのをよく見た有名人の疑問や意見は実はあらかじめ用意されたものを大衆にうまく刷り込ませるための手段であることを知った。何気なく見ている広告だが3.11以降またぞろ原発プロパガンダが跋扈始めていることが恐いと感じた。2016/06/04

どんぐり

75
2兆4000億円。この数字は、1970年から2011年までの40年間に原発の「安全性」と「必要性」を説くために原子力村が日本の原発推進広告に投下した金額である。広告費の原資は当然ながらすべて、利用者から集めた電気料金によるものだ。原発推進広告=原発プロパガンダの普及を推進する組織は、政府及び行政機関、電力9社、原発メーカー、原子力関連研究機関、メディア、そして電通と博報堂の二大広告代理店からなる。これが、3.11を境に、まるで戦争に敗れた国が大慌てで戦争犯罪記録を焼却するかのように、原発PRに手を染めてい2016/07/13

壱萬参仟縁

65
プロパガンダの語源はラテン語のpropagare(繁殖させる、播種)。1622年の布教聖省(今の福音聖教省)として登場。キリスト教で最重要な、宣教活動。その後、プロパガンダは戦争で必要不可欠に(3頁)。洗脳の恐ろしさよ。日本のプロパガンダ推進組織は、政府、電力会社(とグループ企業)、原発メーカー、建設会社(と周辺企業)、原子力研究機関(東大頂点)、メディア、広告代理店(電通、博報堂、24頁)。原発プロパガンダは国民に対しては原発政策支持者を増やす欺瞞。メディアには真実を報道させない恫喝という二面性を持つ。2016/12/12

hatayan

61
元博報堂の社員が原発をめぐる政府の世論工作を暴露する一冊。「原発は安全で豊かな生活を実現し、環境に優しい。」3.11まで常識とされていた知識は政府や電力会社が広告代理店を使って大衆にすり込んだ「PA(パブリック・アクセプタンス)」の賜物でした。電力会社が新聞などに広告を出すのは、出稿の金額によってメディアの自粛を促し、間接的に世論を操る狙いがあるため。暗澹たる思いに沈みそうになる一方、原発の広告を出していても誤りをきちんと指摘する新潟日報のような気骨あるメディアが存在することは一縷の望みを抱かせます。2020/02/17

とくけんちょ

46
国策である原発推進。そのために国民に理解を得ようとして進められた原発宣伝、広報戦略。本書は、原発事故などの歴史とともに、その変遷を否定的な視座で書いている。メッセージは、短く、繰り返し行う。原発はクリーンエネルギー、確かに私の記憶に残っている。本書については、言葉足らず、説明不足、肝心なデータを除いたりと何か違和感を感じる。脱原発にも、清潔な胡散臭くないプロパガンダが必要。2023/01/24

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