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内容説明
武田信玄はなぜ天下を取れなかったのか?
武田軍の農兵の比重の高さや組織の旧式性を声高に指摘する識者は多い。
また、信玄の根拠地、甲斐の国は都からも遠く、当時は貧国であったということは事実である。
だが、信玄の天下取りがかなわなかった真相は別にある。
信玄を語る上で欠かせぬ、世界最古の兵法書『孫子』。
その教義の限界が、信玄の天下人への道を大きく阻んでいたとしたら…。
宿敵上杉謙信との川中島の激闘、徳川家康を一蹴した三方ヶ原、対信長政策をはじめ、
旧来の歴史観がつくり上げた歴史の常識を打ち破る渾身の意欲作!!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
黒猫
13
武田信玄の行動を孫子に重ね合わせて書かれているのが興味深いです。川中島の戦いも、単なる国境紛争として捉えるのでなく、軍事的、経済的、政治的な重要度があったために12年もの間争ったという主張には同意します。兵農分離が最強だという理論を真っ向から否定し、根拠もうなずけるものでなかなか面白かったです。作者は上杉謙信崇拝者なため、上杉謙信を超人扱いしてますが、私も上杉謙信崇拝者なため、アレルギーなく読めます。さて、孫子に忠実な為に時を失った武田信玄とマキャベリの君主論から時を重視した信長の対比。成る程です。2016/07/09
coldsurgeon
5
「孫子」は、その兵法書で知られている。そして、戦国時代はもとより、現代のビジネス現場でも好んで読まれている。戦略書として孫子の兵法書は、大きな弱点があった。それは、攻めの兵法書ではないし、「時間」の感覚がないのである。2015/12/04
さとうはるみ
2
孫子を血肉にまで落とし体現できるまで染み込ませたから信玄は名将になれた。が、同時に孫子の欠点まで身につけてしまった。年齢や兵農未分離や病気が原因ではなく、孫子の思想に原因があったのだと説く。確かにそんな本にお目にかかったことは一冊もない。兵農分離された軍隊とは実は弱い軍隊であるという指摘はまだ理解できない。それを強い軍隊と錯覚することが起こっていると。信玄が上洛できても足利義昭は次は打倒信玄を叫んで信長にしたように倒そうとするのでは?と思う。とすると上洛の意味って??と虚しくなる感じが悲しい。2023/02/09
シューター
2
自分の読み方が悪いせいもあるのだが、こういう類の本はどうも説得力に欠ける気がしてならない。あの説は間違っていて本当はこうだった、と言ってるその説も一つの見方でしかなく、だったら小説の方が演出があるぶん面白い、と思ってしまう。人文系の学問は難しい。2015/12/31
さとうはるみ
1
ん?農村余剰人口を増やして農兵比重を高くすることで出兵数を多くすることを信玄はしたが信長さんはしなかった。この時代、人口は農村に多く都市にはそこまででは無い。都市に多くいたのなら産業革命後に農村から都市に大量に出てきたプロレタリアート無産階級の人達の説明がつかないと著者は述べる。兵農分離すると逆に兵の死が怖くなるというか、自由が効かなくなる感じなのか。兵農分離優位仮説の逆で信長さんは農繁期に出兵をあまりしていないと。農兵比重の高い信玄はよく農繁期に出兵していたと。農兵だから~はおかしいと。2023/02/13