内容説明
「汚れつちまつた悲しみに……」をはじめ大正から昭和にかけて多くの詩を残し、早逝した天才詩人・中原中也。
その現代にも通じる詩のセンス、ビジュアル、そしてロッカーのような生き様はカリスマ視もされ、今もファンが多い。
そんな中原中也と、女優・長谷川泰子、そして中也の友人であり、のちの大文学者である小林秀雄。
この3人が繰り広げる奇妙な三角関係を描く。
中也の詩がいかに生まれてきたのか? 時系列にも合わせて、その歩みを描く、ノンフィクションにも近い「詩小説」。
構想20年!長くノンフィクションを書き続けてきた著者会心のノベルス処女作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
SOHSA
28
《kindle》unlimited 中原中也、小林秀雄、長谷川泰子を巡る恋愛小説。高校の頃、中原中也に傾倒していた時期があり、大岡昇平や河上徹太郎、長谷川泰子、中原思郎など中原中也と親交のあった人たちが中也について記し、述べた著作をたくさん読んだ。本作は、そうした事実をなぞりながらも、中也ら3人の心情を細やかに描いた恋愛小説だった。ひとの性の哀しさは救うべくもないが、その哀しさが中也の詩作の原動力となっていたことは否定できない。久しぶりに中也の詩を読み返してみたいと思った。2021/10/14