内容説明
物欲の権化のような父フョードル・カラマーゾフの血を、それぞれ相異なりながらも色濃く引いた三人の兄弟。放蕩無頼な情熱漢ドミートリイ、冷徹な知性人イワン、敬虔な修道者で物語の主人公であるアリョーシャ。そして、フョードルの私生児と噂されるスメルジャコフ。これらの人物の交錯が作り出す愛憎の地獄図絵の中に、神と人間という根本問題を据え置いた世界文学屈指の名作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ehirano1
242
科学というか、「合理主義vs.宗教(=新旧の価値観の正面衝突)」の二項対立の描写が既に圧巻。扱うテーマも多い上に、人間関係も整理できるまで結構難解で挫折本と云われるのも肯けますが、それを超えたところにはどんな景色が待つのか後続の巻が楽しみです。2024/08/15
ちくわ
174
自分はロシア文学好きである。ゴーゴリもゴーリキーも好きで、先日読んだ『罪と罰』も良かった。『カラマーゾフの兄弟』も傑作だ…が、主人公達が貴族だからか?他作品に比べ感情移入し難い自分がいて淋しさを憶えた。『戦争と平和』でも同様だったので、自分は根っからの小市民なのだろう(泣)。感想…フョードルやドミトリー、イワンには人生で度々遭遇する一方、アレクセイに出会った記憶が無い。あくまで私見だが、ドストエフスキーが人間としての理想を追求した姿=アレクセイなのだろうか?彼を生身の人間とは思えなかった自分が恥ずかしい。2025/04/12
ケイ
173
五年前に亀山訳で、今回は講座受講のために。力量のある訳者であれば、これほどの大作の、一文一文の奥にある思想や物語の流れに差はないと思われる。パイーシイ神父の別れ際の優しい言葉、イワンの大審問の前振りの語りが一番心に残る。イワンが「神が存在しないのなら、考え出すべきである(ヴォルテール)」を引用の後に、「もし悪魔が存在しないとすれば、つまり、人間が創り出したのだとしたら、人間は自分の形に似せて悪魔を作ったんだと思うよ」と語り、神がいなくとも1人で善行をなす人はいるとアリーシャに語る時の彼の煩悶が興味深い。2018/06/27
のっち♬
162
三兄弟と父は長老の仲介で顔を合わせるが、女性をめぐって長男が父が対立する。強欲の権化、放埒な直情型、インテリ無神論者、神の愛の実行者…カラマーゾフ一家をはじめ、著者がこれまで混迷したロシア社会から掬い取って濃縮錬成してきた選り抜きの人物像が結集。上巻は複雑な人間関係を外堀から埋めるようなストーリーテリングと執拗な長広舌を積み重ねながら、重厚かつ深淵な世界観の土台を着実に形成してゆく。中でも『大審問官』は神と人間、信仰と自由を問う著者の思想の精髄。このキスは自由の重荷に苛まれる人類への彼からの究極の回答だ。2018/12/04
青蓮
136
以前読んで挫折したので再チャレンジ。登場人物達がとにかく濃い。圧倒的な熱量を持って読み手に迫ってきます。人間とは何か、神の存在、信仰、愛、憎しみ、貧困、苦悩と言った人間が背負うありとあらゆるものの坩堝に惹き込まれて、ページを捲る手が止まりませんでした。上巻の白眉は第二部の第五篇にあるイワンとアリョーシャの対話。特に「反逆」「大審問官」あたりがポイント。正直、この当たりは難しくて、なかなか理解が及ばす苦戦しました。キリスト教の知識があればもっと理解できたのかも。個人的に天真爛漫なアリョーシャが好き。中巻へ。2016/10/24
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