内容説明
『広辞苑』基礎語千語の執筆、戦後の国字改革批判、そして孤軍奮闘した日本語タミル語同系論研究……「日本とは何か」その答えを求め、生涯を日本語の究明に賭けた稀代の国語学者の貴重な自伝的エッセイ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Ribes triste
3
深く感動しました。大野氏曰く「少力」な人間が愚直なまでに真摯に、信念を持って研究に励み、生きていく姿がありました。「国字問題」の顛末は、長年私の中にあった疑問を氷解してくれました。「タミル語」の顛末には、逆境の中にあっても負けない人間としての強さを感じました。2015/01/20
maju N.
2
僕はこういう個人的な体験を素朴に書いたものを読むのも好きだ。これなどは書きぶりに衒いがなくて、人柄が感ぜられる。人間としての普通の生活の上に学問があるのであって、頭と身体が分離しちゃってるのは駄目だなあと最近強く思う。しかし昔の人は若いときにこういう勉強をしてるんだから、偉くなるわけですね。2023/06/25
T.M
1
平易な文章で書かれているので、時間さえあれば一日で読了できる。ページをめくる手が止まらないとはこのことである。 読み終えて少々時間が経ってしまったので、印象のみ記しておきたいと思う。 タミル語起源説の提唱者として、学会では多くの批判もされたそうだが、ことばに対する情熱と慈しみの心は今の日本人に欠けている要素の一つであるだけに、一読の価値はあると思う。2015/03/03
SKH
0
難解言語。2016/07/26
かすり
0
大野晋の本は、学生時代には読んだものだが、言語学に関心がなく、久しく忘れていた。書店で何となく手にとって購入。言語学者でありながら(であるから?)読みやすく簡潔で叙情的過ぎない文章で語られる若い頃の思い出は、淡々と語られる分、より心に迫った。しかし象牙の塔の争いについてはよく分からなかった。2015/05/16