創元推理文庫<br> 古書贋作師

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創元推理文庫
古書贋作師

  • ISBN:9784488184056

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内容説明

ニューヨーク州東端の町で、アダムという男が後頭部を殴打され、両手首を切断された状態で発見される。周囲には稀覯本や貴重な原稿が散乱していた。彼は、コナン・ドイルなど著名作家の直筆を偽造する贋作師だった。アダムの妹ミーガンと交際しているわたしも、かつて名を馳せた贋作師。だが逮捕されたことを契機に足を洗い、今は古書オークションハウスで働いている。ディケンズやドイルなどの文豪の筆跡で書かれた、正体を暴いてやるとの脅迫状に怯えながら。稀覯本の世界へ読者を誘う、異色のミステリ。/解説=三橋曉

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

KAZOO

149
私は内容的にはもっと古書の話が出てくるものだと思っていたのですがそうではなく古書を扱っていた人物の過去のかかわりからのことがもとで事件が起きてということです。ただ事件の発端が猟奇事件の様子を呈してということで興味をもたせるにはいいのかと思いました。ただそのあとが若干期待したような話ではなく、表題とは少し異なる感じです。古書にまつわる話は若干出てきますのでそこをもう少し膨らませてほしい気がしました。2016/10/25

星落秋風五丈原

50
タイトル見て面白そうだと思ったけど肩透かし。主人公の一人称語りで主人公がナルシーだとたまらんなという作品。いやだって自慢ばっかりなんだもん。俺の腕はすごくて絶対見破られないとかなんとか。犯人の名前も中途で明かされるし。2020/11/19

本木英朗

36
語り手である「わたし」は、かつては稀覯書の贋作師として知られていたが、今は足を洗っていた。ある日、恋人ミーガンの兄でやはり贋作師のアダムが自宅で両手首を切断された状態で発見された。アダムの死後、「わたし」のもとに文豪の筆跡で脅迫状が届きはじめ……。設定はなかなか魅惑的なのだが、正統派のミステリでは決してない。饒舌な語りの奔流は「わたし」の俗物性をさらけ出す。これを受け入れられない人も多かろう。解説で三橋暁氏が指摘するように、ミステリの手法や様式を用いつつ人のエゴを暴く一般文芸作品と認識しておきたい。2016/07/28

コジ

33
★★☆☆☆ 【辛口御免】稀覯本収集のマニアックな世界を通り越して、その稀覯本の贋作師を主人公に据えたミステリー。名作古典とその作者に対するオマージュを挟みながら一人称で語られていく作りは面白い。ただし、主人公の感情や行動が理解できず物語に入り込めない。さらに途中、匂わしのつもりで書いたであろう部分で真犯人がわかってしまう。余程の名作でないかぎり真犯人の分かっているミステリーを読むのは苦痛。ホワイトクライム(知的犯罪)を美化するミステリーはありがちだが、この終わり方は受け入れられない。タイトルチョイス失敗。2019/12/20

RIN

31
読んでいるうちに眩暈がしてくるような作品。古書の作者サインや献辞、手紙を贋作する古書贋作師の一人語りで全編構成される。主人公の恋人の兄が殺されるところから舞台の幕が上がるのだが、主題はこの殺人事件の謎解きなのか、主人公の贋作に魅了される心の移ろいなのか、物語が一体どこへ向かっているのか、読者は何の物語を読まされているのか、全く分からなくなっていく。ミステリっぽいけど純文学みたくもあり、とにかくこれ以上言えない(笑)不思議な小説。2018/10/19

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