内容説明
正直、勇者より魔王軍の方が大変そうだよね。
「一体こいつはどうやって冒険をしようというのか! もう勘弁ならんぞ!」
「落ち着いて。僕たちが根気よく勇者を育てていくしかないんじゃない?」
30年ぶりに現れた勇者を前にして、魔王軍は大混乱。そいつは伝説の武器を前に平然とこん棒を選択するような、ただのバカ。
次々と奇跡的な愚行を繰り返すダメ勇者。
そんな勇者を目の前に、魔王軍は絶望の淵に立っていたのだ。
モンスターは勇者に倒される事で、より優秀なモンスターへと転生する。彼らは勇者を育成し、旅を盛り上げ最後に倒されることを夢見て過ごす。
それが彼らの仕事であり、人間との間に結ばれた秘密裏の決め事なのだ。
――たとえ勇者がどんなにバカであったとしても。
だから、魔王軍だって楽じゃない。
選んだ勇者のバカさ加減を棚にあげ「コレじゃ勇者が育たないよ! 職務怠慢じゃないの?」とクレームをくれる人間サイドのお偉いさん。
天才的なダメっぷりで、どれだけイージーな状況も覆すミラクル勇者。
きわめつけに、新入りモンスターのうっかりミス。
それでも文句は言ってられない。
嗚呼、仕事ってなんだろう……。
第10回小学館ライトノベル大賞審査員特別賞受賞のファンタジー社畜コメディ!!
※この作品は底本と同じクオリティのカラーイラスト、モノクロの挿絵イラストが収録されています。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まりも
32
30年ぶりに現れたダメ勇者の為に奔走する社畜魔王軍のドタバタな日常を描いたファンタジー物語。うーむ、思ってたのと全然違ったせいかイマイチハマらんかった。イラスト及び帯の煽り文句、そしてあらすじを読む限りギャグ系作品だと思ってたんですが、上司や部下や取引相手に苦労する社畜の姿がガッツリ描かれていて、なんだか読んでて疲れますわ。社畜系を描くならもう少し癒し要素入れてくれないと、精神削られ過ぎてしんどいんですよねー。爽快感も無かったし、トータル微妙だったかな。イラストは良かった。2016/06/18
しぇん
19
ギャグ小説かと思って読み始めたら上司と部下板ばさみにろくでもない客の無茶な発注に苦労させられる物語なので、やや困惑した中読み進めていきましたが、最後はちょっとしんみりさせられる良いお話になっていき、読後はなんだか良いお話を読んだなあと……。パッケージエラーしている気がしてしまいますが、魔王軍の人達がやたら良い人だらけだったのが良かった所ですかね。2016/06/18
中性色
14
新入りが生意気だ。あらすじから見ると勇者がボケ気質でそれにツッコミつつ振り回される感じかと思ったけど、そういうのとは気質が違うかな。これはこれで面白いけど。しかし、この作り方だと勇者の種類のネタが尽きたら続けるのも難しいかもなぁ2022/06/29
ラノベの王女様
13
お仕事ものの欠点を凝縮した作品。ウニベルの言動とイラストが稀に見るシコリティの高さだから買ったけど、肝心のストーリーがダメダメ。仕事のドロドロした部分にスポットが当てられてばかりで、楽しさが全くない。例えるなら『ここは異世界コンビニ デモン・イレブン』で、四天王と僧侶がガチで商品を取り合うドタバタ要素じゃなくて、AMとの理不尽なやりとりに延々と行数を割くようなもの。作者の職場を参考にしたんでしょうけど、ぶっちゃけ読者からすればどうでもいい。楽しくないならいらない。ハマカズシに期待したあたしがバカだったわ。2016/06/29
nawade
13
★★★☆☆第10回小学館ライトノベル大賞審査員特別賞受賞。散ってこそ華、勇者の勝利を演出!魔王軍を舞台に繰り広げられるファンタジー社畜コメディ。なんという出来レース設定!面白いのは冒険の裏側の魔王軍に視点を置いて主役の位置にいるはずの勇者の顔が見えにくいこと。これは読み方を間違えると期待外れとなってしまう。タイトルとあらすじからコメディと捉え、バカバカしさを期待すると肩透かしにあう。立場の弱い魔王軍、そして中間管理職の悲哀を描いた作品なのだ。ストレスが溜まる展開なのでラストにはもう少し爽快感が欲しかった。2016/06/17