新潮文庫<br> ニッチを探して

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新潮文庫
ニッチを探して

  • 著者名:島田雅彦【著】
  • 価格 ¥737(本体¥670)
  • 新潮社(2016/06発売)
  • ポイント 6pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784101187136

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内容説明

背任の疑いをかけられた大手銀行員・藤原道長は、妻と娘を置いて失踪した。人目を避けた所持金ゼロの逃亡は、ネットカフェから段ボールハウス、路上を巡り、道長は空腹と孤独を抱え、格差の底へと堕ちてゆく。一方、横領の真の首謀者たる銀行幹部たちは、事件の露見を怖れ、冷酷な刺客を放つ――。逆転の時は訪れるのか。東京の裏地図を舞台に巨額資金を巡る攻防戦の幕が開く!

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

つねじろう

34
帯にある興奮のサスペンス巨編を期待すると裏切られるかも。勤める銀行の上司の収賄がらみの不正を阻止し行方をくらます主人公。不正対象の組織からも警察からも逃れて生きていく、つまり棲息地ニッチを探す旅。すぐに有り金も底をつき落ちる所まで堕ちるがそこも案外棲息ルールがあって無闇に自分の生きてくスキマがないことがわかる。ホームレスで生きて行くのも簡単じゃない。その点は実体験したのじゃないかというくらい具体的でリアル。スリルとサスペンスより自分の居場所を見つける為にいつの間にか逞しくしぶとくなって行く主人公が面白い。2015/12/30

kumako

20
東京の土地勘がないので道長の路上生活旅を想像しにくかったのがかなり残念でした。所持金の使い方を誤ったり、源さんの家で娘に見つかったり一緒にハラハラしながらも、この生活の最終地は何処なのかが分からず中弛み、なのに終盤は命を狙われて忙しい展開に。ラストははっきりしない感じで終わったけど道長の運が強い事だけは分かりました。一番謎だったのは銀行の副支店長である道長が数ヶ月失踪しただけで生活費が底をつく藤原家の家計簿(笑)2021/07/10

ちゃま坊

20
ニッチの言葉にひかれて手に取った一冊。満員電車と人間関係のストレスに日々耐えているサラリーマンなら、ホームレスにあこがれたこともあるだろう。逃亡劇であるが、東京での路上生活入門ともいえる小説。銀行員という職と家族を捨てて、路上のニッチを探す。ニッチとはライバルの少ない自分の居場所。ライバルが少ないことが生き残る戦略だが、隙間はなかなか見つからず、なってみないとわからない苦労はある。舞台は現在の東京と川崎の各地。よく歩いているあたりなので、景色が目に浮かぶ。主人公の足跡を辿ってみるのも面白そうだ。★★★2019/04/09

M.I

20
悲壮な状況に永遠の青二才が身を置いたらやっぱり永遠の青二才なのだけれど ラスト近くにちょっとハードボイルドな展開になるのがいい意味の意外性があった 品がいい逃亡日記 出会う人がみな面白い2016/02/18

nyanlay

18
サスペンスとありますが、その要素はほとんど感じませんでした。どちらかと言うとホームレスへの指南書みたいな感じ。『0円生活』の物語バージョンを読んでいるようでした。また主人公が移動していく先々のちょっとした情報もあり、呑み屋とか想像が楽しかったです。2016/01/30

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