内容説明
地球温暖化と炭酸ガス排出量規制の流れ、環境志向の高まり、化石燃料の枯渇により、炭酸ガスを排出しないエネルギーに注目が集まっている。この中で脚光を浴びているのが、「再生可能エネルギー」、別名「自然エネルギー」だ。しかし、太陽光発電、風力発電には、その生産できる総エネルギー量と気象変化によるエネルギー生産量の不安定化など、多くの制約と限界がある。この本では、科学的、論理的な視点からその問題点を指摘し、現実的なエネルギー生産と利用のあり方、将来の見通しなどを示していく。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
えちぜんや よーた
21
例えば、事業用発電(商用発電)についてプラント1基あたりの 「定格出力」を比較すると、以下のようになるそうです(P25) 火力… 1,700,000kw(中部電力・川越火力発電所3・4号系列) 水力… 200,000kw(電源開発・奥只見水力発電所4号機) 原子力…1,380,000kw(中部電力・浜岡原子力発電所5号機) 風力… 3,000kw(静岡県・ウィンドファーム)) 一次エネルギーの議論については、さまざまな議論があります。風力発電は他のエネルギーに比べて、ケタが3つぐらい小さいよう。2012/12/01
まめタンク
8
2012年76冊目。3.11の原発事故。エネルギーを原発に頼ることが難しくなった今、自然エネルギーの普及は不可避のよう思える。太陽光発電、風力発電などが注目を集めている。孫正義氏が進めるメガソーラーなどには夢を感じてしまう。しかし、本書ではそんな次世代のエネルギーを担う自然エネルギーに対して否定的な見方をする。発電効率が悪い、火力や水力に比べる、エネルギーとしての利用は難しいのではないか?と。意見としては示唆に飛んでいる。2012/10/25
カインズ
3
【地に足のついたエネルギー論】風力、太陽光発電の問題点を指摘し、水力や地熱による発電のメリットを説く一冊。砕けた文体で書かれているため、非常に読みやすい。日本における自然エネルギー政策の迷走ゆえに、風力、太陽光という日本では条件の悪い発電方法ばかりがクローズアップされてしまったということは、初めて知った。売る側が有利に立つ売電によって、モラルが低下するのではないかという指摘には、同感である。自然エネルギーの特性を理解し、それぞれにあった形でのエネルギー利用を行うことが重要なのではないだろうか。2011/09/01
taming_sfc
3
石川憲二先生による2010年の著作。多くの再生可能エネルギーに対する楽観論に対して、ファクトを積み上げて冷静な議論を行おうとする姿勢が、まず本書の価値である。とくに、理系的な人には常識である分散したエネルギーを集中させて利用することの難しさを、こつこつ解くあたり、エネルギー問題初学者必読の書と言える。また、技術論にとどまらず、再生可能エネルギーを普及させていく際に必要な政策的手法についての低減も第4章にまとまっている。よみやすさから、当該分野の問題に興味関心のある中学・高校生にお薦めしたい。2011/08/17
pitch
2
とても読みやすく、分かりやすかった。風力や太陽光が普及しない理由がすとんと納得できた。エネルギー問題に関わらず、何でもイメージで物事を判断するのはよくないんだと痛感させられた一冊でした。2012/04/16