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内容説明
大正・昭和の廓を舞台に、男と女が織りなす綾と当時の風俗の完全描写で大人気を博した名作が、ここに復活。劇画の巨匠さいとう・たかをの隠れた代表作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きゅうり
11
こういう重苦しい話は現代では流行らないのかな。話の中に「好きで女郎になる女なんていない」って繰り返しでてくる。今は年老いたナオミが語る若かりし頃の女郎たちの悲しい運命の数々はその言葉のとおり。対照的に1972年(連載当時)の現代、四十八手を習得しようとナオミを訪ねてくるOL。社会が豊かになった。男女のありようが変わった。自由を手に入れた女が自分の性と若さの商品価値を利用することに気付いた。それってはたして幸せなんだろうか。第四話、女郎を一人の人間として叱り涙した源さんのような純粋さを笑うのだろうか。2017/03/21
文也
6
ナオミという老いた娼婦を語り部にした連作短編。廓を舞台に女郎と男の悲哀を描く。どの話も面白くて、池波正太郎とか柴錬の短編を読んでるような気分だった。作画も凝ってて、ナオミさんの語り、つまり「今」は暗く重く、陰があるのに対して、「過去の回想」はアッサリとしたいつもの絵になってる。連載された1972年は公害等の高度成長の弊害が顕在化しだした時期で、当時の世相を反映してるのかとも思ったが、10話の「つらくてもくるしくても、あたしの若い日は廓の中にしかなかった」というナオミさんの言葉が答えなのかな、とも思ったり。2016/05/20
鶏モモ
3
女郎には(女郎でない人と何も変わらない)人格があるということが、ひとりひとりの悲しみに寄り添って描かれている。すごく切ないけど、もっと読みたい。2016/06/16
たまうさ
2
ナオミ自身のエピソードが無いのが残念だったな。2016/06/07
A.Sakurai
2
さいとうたかおさんの佳作ということで復刊を機に読んでみた.もっぱら昭和初期の遊郭の女性たちを主人公に据えた連作短編であるから,遊女哀話的なものだと想像できるし,実際にそうなのだけど,そこかしこにヒヤリとしたものを感じられる.女郎に頭が弱い人が多かった理由,模様入りの腰巻き,下の毛の手入れ,必要悪論と実体.実はさいとうさんは遊郭街の目の前で理髪店を営まれていたそうで,これらの細部はご自身の見聞からのもののようだ.ちょっとしたディテールが作品の重みをぐっと増している.2016/05/31