内容説明
アジアを駆けた誇り高き男たち、女たちのドラマ―歴史の失われた半分を現代に語り継ぐ一条の光明。ひとりのウイグル人が自らの言語で著し、命を賭して世に送り出した伝説の歴史書、日本語版。
目次
第1部 ウイグル・カガン国(ウイグル人の母なる故郷;歴史書誌における情報 ほか)
第2部 カラハン朝(カラハン朝が建国される前の中央アジア;カラハン朝の成立 ほか)
第3部 天山ウイグル国(天山ウイグル国の誕生;カラハン朝と天山ウイグル国 ほか)
第4部 甘州ウイグル国(甘州ウイグル国の成立;甘州ウイグル国の強大化 ほか)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
BLACK無糖好き
22
原著は1989年刊。中央アジアで数千年の歴史を生きてきたウイグル人の、その歴史の過程を記録した貴重な本。もともと匈奴が支配する王国(前240-後216)、突厥が支配する王国(551-744)の構成民族として存在し、その後、ウイグル・カガン国〜カラハン国〜天山ウイグル国〜甘州ウイグル国〜ヤルカンドハン国などの王国を建てた。本書は甘州ウイグル国の途中までの、いわば未完の書。◆本書の日本語版を出せるのは、やはり集広舎ならではか。全ての漢字に"ふりがな"が振ってある。出版社の力の入れ方が存分に伝わってくる。2020/12/16
はる
8
紀元前9000年既に中央アジアにおいては粟や小麦栽培が行われ乳製品を食していた。ホータンの少女ミイラとともに発掘された炭化した麦種に栽培文化が刻印されている。この本は伝承時代から1200年ころまでのウイグル人と呼ばれる民族がユーラシア大陸を闊歩した足跡を編年体的に著述した大作である。著者の労作を含めウイグル人の視点に立つ著述の入手は困難である。この原書そのものを新疆ウイグル自治区に求めても入手できない。ウイグル人は新疆の中央アジアに生活圏を持つ狭い範囲の民族と理解していたが、全く違う印象だった。→2022/02/16
K.C.
4
ウイグルに関する唯一の歴史書。大著かつ、翻訳者曰く未完で、現地では発禁。内容は歴史の教科書のような記載が続く。現在の新疆ウイグル自治区の状況は想像できないが、それは冒頭と巻末の解説で知ることができる。今の状況を知りたいという欲求には全て応えられないが、中国・漢族的思考に囚われている自身のスタンスにハッとした。2020/05/27
takao
2
大変興味深い2023/12/17
人魚姫
2
図書館のカウンターで受け取った時、本の厚さに驚いた。2週間で読める気がしない。1日2章のノルマを自分に課す。そして無事、読み終えた。紀元前2000年に文字を手に入れていたなんて驚き!次々国ができたり分裂したり王様が殺されたりと戦争がめまぐるしくて、とても覚えられない。人の名前も耳馴染みのない音なので、読み進めるのが大変だった。ここに書かれてある話を全部信じる訳にはいかないとは思うが、中国より古くから豊かな文化を持っていたという認識を、世界に知らしめなくてはいけないのではないかと思った。2020/08/11