河出文庫<br> 太陽がいっぱい

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河出文庫
太陽がいっぱい

  • ISBN:9784309464275

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内容説明

息子ディッキーを米国に呼び戻してほしいという富豪の頼みを受け、トム・リプリーはイタリアに旅立つ。ディッキーに羨望と友情を抱くトムの心に、やがて殺意が生まれる……ハイスミスの代表作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ケイ

152
映画のあらすじを何となく知っているだけだったので、それを追うように読んでいたら、最後に驚いた。とにかく、ドキドキハラハラする。心配で(心配してあげるような人ではないのだけれど)、いつバレるのかとページを捲る指が震えるようだった。同性愛的視点をすごく感じたのだが、訳者後書きを読んでなるほどと思った。そこで紹介されている丸谷才一氏の見方が興味深い。どう書いても、ネタバレになるので感想がきちんと書けないが、おすすめです。2016/06/13

Lara

92
1955年(昭和30年)頃の時代は、生活、文化共に、今とは異なり、随分悠長で、のんびりした生活だったようです。ゆったりした雰囲気は、今ではなかなか味わえませんが。主人公、トム▪リプリーの独りよがりな生き方に付き合わされた、イタリア、南仏の旅模様でした。謎解きのSFとは違うようです。2023/05/29

まふ

62
映画のアラン・ドロンやマリー・ラフォレをイメージしながら読み進めたがトムがディッキーを殺す場面が中ほどで出てきてしかも小さなモーターボートだ。映画と全然違うではないかと読んでいくうちにまた彼は殺人を犯す。一体最後はどうなるのか、と心配したが、ハイスミスの目論見は別のところにあった。まことにこれまでの推理小説をあざ笑うかのような幕切れであった。こうでなくっちゃ、ハナマル10個のサスペンスだった。G1000、推理100。2022/09/18

Willie the Wildcat

57
トムの心変わりが齎す因果応報、数々の”試練”を乗り越えた果てに見えたモノ。生い立ちが心変わりの心底にあり、反感・嫉妬・羨望・友情の入り混じった心理描写が妙。ディッキーが、トムの資質を問う件が原題の解。生計ではなく、(コトの良し悪しでもない)生きるための才。典型的な私利私欲で、徹頭徹尾の悪にもかかわらず、結果として判官贔屓となる理由。ここが映画、文字と画像との差異の起点なのかもしれない。手段は別として、再起に懸ける執念も、結末にある種の妥当感を生ませた。2025/05/27

うらなり

51
感動度4。主人公の人物描写が素晴らしい。完全犯罪を計画実行するのだがそれほど準備しているわけではないのでいろんなところでほころびが出て、そのたびに読者もハラハラする。ハラハラさせるところが作者の力量である。一か所不自然なのは、ローマ警察ロベリーニが若い警官と二人で、グリーンリーフになり切っていたリプリーとあって、後にベネチアでリプリーにあった時に同一人物と気が付かない、疑いを持たないというのはどう考えても不自然。映画とは全く異なる結末だが巨匠ハイスミスの素晴らしい作品でした。2022/06/05

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