内容説明
毎週日曜、死んだおじいちゃんの愛犬と公園へ行く。これが高校2年、チャコの習慣だ。しかしのどかな風景とは裏腹に頭の中は悩みでいっぱい。大学受験、親友との大喧嘩、そしてバラバラな家族。青春まっただ中って感じだけど当人は息苦しいことこの上ない。そしてさらにチャコは出逢ってしまう――恋に。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ひめか*
38
高校2.3年生が書いたとは思えない!でも高校生というあの頃の気持ちの揺らぎ、友情、恋心がリアルに詰まっている。『佐藤さん』を読み好きな文体だと思ったため、本作を手に取ったがこれもまた良かった。タイトルは初恋相手だが、中心に描かれるのはトキコとの友情。喧嘩しながらも相手の気持ちに寄り添えるようになる。おじいちゃんのこと本当は好きなのだと、ジョナさんに語っている時泣けた。ミヤマ先生はひどいな。教師失格だと思う。ジョナさんへの初恋は終わってしまったけど、トキコという親友はこれからも大切な存在であり続けると思う。2016/09/24
coco夏ko10角
25
著者がまだ高校生だった頃の作品。だけに、家族・友情・淡い恋・進路…色んなリアルな瑞々しさが詰まっているし、自分が高校生の頃に感じていたことを思い出したり。チャコとトキコが食事をしたジョナサンのことも(もう閉店してしまった店舗だから余計に…)。続編『チロル、プリーズ』も読んでみたい。2015/05/20
惠
8
淡い恋愛を読書で追体験しようと軽い気持ちで手に取ったのに、まさかの号泣。内容が心に響いて、というよりは、「忘れていたこと」を内容に触発されて思いだしてしまったがための涙。優しい気持ちになれた。けっこう好きだな。2010/12/17
カエ
6
本棚整理に伴い再読。著者がちょうど同年代の頃に書いたという高校2年生の女の子たちの話。友達や家族に真っ直ぐに向き合っていくところが懐かしくてたまらなくなる。そのきっかけの一つが初恋ってのがまたたまらない…!2015/10/15
如月小町
6
読後感をひとことで言うなら「ひたむき」かな。読み終わって「ほーっ」とため息をつくほど入り込んでいた。さらりと書かれているけど、いろいろな社会問題も見える。高校生の時に読んでいたら、登場人物の誰かに入り込んでいたかもしれない。今、出会ったことで、茶子の家族の気持ちも、トキコ親娘の葛藤も、身近に感じられた。この作家さんの本は、まだ3冊しか読んでないけど、好きな作家さんのひとりです。2015/02/19