内容説明
裁かれるジャンヌ・ダルクは、ほんとうに神より遣わされし者なのか?国王シャルル七世の寵臣ジョルジュは、自らの地位を脅かしかねぬ女(ジヤンヌ)の素性を洗い出そうと心を砕く。そして最後に彼が気づいたある戦慄すべき事実とは……。西欧中世史に材をとった表題作のほかに六篇を収める、才気横溢の傑作短篇集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
徒花
400
中世ヨーロッパを舞台にした歴史小説の短編集。表題の通り、ジャンヌ・ダルクにまつわるものと、レオナルド・ダ・ヴィンチにまつわるものが多いが、これらの話はおもしろさとしてはイマイチ。個人的に一番面白いと思ったのはイベリコ半島はカスティーリャとアラゴンを舞台にした騎士の物語「エッセ・エス」。軽妙な語り口と爽快な物語はかなり良い。2016/05/06
k5
72
表題作より、ジャンヌ処刑裁判をパリ大学側から描いた「ルーアン」が出色。なるほどシャルルを王とみなさなければ、神がかりの濫用になるわけか。作者はほぼフランスのイメージでしたが、カスティリヤ、アラゴン連合王国の成立に関する物語や、ダ・ヴィンチの話など他のヨーロッパものもあって楽しい短篇集です。2021/08/13
ehirano1
65
各々のラストシーンが秀逸だと思いました。こういうの好きです。「ヴォラーレ」ではダ・ヴインチの苦悩に引き込まれました。2016/05/12
ehirano1
56
「エッセ・エス」は短編ではなく長編で読みたいな。佐藤先生お願します。2016/05/15
巨峰
25
直木賞を取った頃に2、3作よんだ佐藤賢一を久々に読んでみた。西洋の歴史小説を書く人は多くないわけで、貴重な存在であるべきなんだが、どうにも、この人は底が浅い。その印象は変わらなかった。この小説で1番楽しく読めたのは「エッセ エス」なんだけど、でも、これって勧進帳でしょ?2011/09/05