内容説明
激動の戦国時代、織田信長、毛利元就を翻弄し、瀬戸内を縦横無尽に駆けた「村上海賊」。彼らはいかに生き、 戦ったのか? 第11回本屋大賞『村上海賊の娘』主人公誕生のきっかけを作り、作者・和田竜氏が全幅の信頼を寄せる「海賊研究」の第一人者が最新調査で迫る決定版。和田氏創作の裏話にも及ぶ「海賊対談」も所収。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
MUNEKAZ
5
村上武吉を中心に、能島村上水軍の興亡を描いた一冊。毛利家との繋がりが印象的な武吉だが、大友家との関係も深く、筑前を巡る毛利・大友の合戦では一時的に大友方についていたとは意外。しぶとく戦い抜いてきた村上水軍も、秀吉の海賊禁止令や関ケ原後の転封で、少しずつ苦境に立たされていく様はなかなか辛いものである。また近世に入り、村上氏の後裔が先祖を北畠顕家(村上源氏だ!)に求めて系図を作成していたのも興味深かった。巻末には作家の和田竜氏との対談が追加されている。2019/01/20
nakmas
3
『村上海賊の娘』より先に読んでしまった。 これはこれで、史実を追いかけていて、 しかも読みやすい感じに作られていておもしろい。2016/01/23
hyena_no_papa
2
感想は諸氏の仰る通りかと。素晴らしい。「あとがき」に曰く「ひとつひとつのできごとに史料的裏づけをきちんと取る」。この言に偽りなし。古文書など多くの史料を繰り出して憶測に奔らない堅実な語り口が絶品。歴史を語る王道なのだろう。252頁で「陸の論理」を注意しているのも是。これは十分に「大河ドラマ」になるのでは?視点はもちろん村上武吉。登場する戦国武将は信長・秀吉・家康・毛利一族など豪華キャストになる。しかし、これだけ壮大な海の歴史をドラマ化出来る脚本家が今の日本にいるのか?巻末の注や参考文献の列挙も疎かにせず。2019/10/24
田舎っぺ狸
2
宮窪町の村上海賊記念館で山内先生の講話を聴き,学芸員の案内で能島へ見学に行ったら,本の一冊くらいは読まないといけないので,買って読んだ。和田竜の小説は本屋大賞決定の前に読んでいた。山内謙先生のこの本を読んで,中世の瀬戸内海の実際の出来事を知ると,「村上海賊の娘」の登場人物が生き生きと脳内で像を結んで来て,動き回りだした。2017/11/17
韓信
1
#信長出陣 で厳島イベントやってるので読了。フロイス曰く「日本最大の海賊」村上武吉の生涯と、能島村上氏ら瀬戸内の海賊の盛衰を、膨大な史料と実地踏査をもとに描き出す評伝。家督相続争い、毛利への臣従と離反、来島氏との抗争、豊臣政権下での圧迫と瀬戸内からの移封等、武吉の生涯を丹念に追う一方で、上乗りや紋旗賜与による海上交通安全保障者としての活動や船舶襲撃など平時の海賊の実態も各種史料から描き出しており、村上海賊に興味のある人は必読の内容。浦上・大友・尼子・三好らの毛利包囲網の一角を担っていたことなど新知見もあり2023/12/27