内容説明
あぐりと思わぬ再会を果たした昭吾。愛読者で年下の好青年・無敵と惹かれあう美未。家族を大切に思う気持ちをお互いに抱く二人にめぐる、取り返せない歳月を共にした男女の哀歌と、求め合う男と女の不思議な絆。愛するとは、夫婦とはなにか。日本の古典と昭和史にのせて切なく描かれた、傑作ラブロマンス。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
72
しみじみとでありながら日本の変化が押し寄せてきました。この時代があったがために皆がそれぞれの絆を生み出すように流れていたのですね。ひとつではなくいくつもに依存したからこそ、自らを保てた時代があったことを心に刻みたいと思います。2018/07/12
優希
54
日本の変化がじわじわと押し寄せてくるようでした。戦争から経済大国へと昭和の激変という運命が、昭吾とあぐりの絆を強くしたのだと思います。長い歳月の中で哀歌が奏でられているようでした。2022/01/20
牧神の午後
3
以前読んだのは無敵と年が近いタイミングで、だからこそ美未とのやり取りに感情移入することが大きかったのだけど、いまや美未と同世代⇒昭吾に近くなったってことで、美未サイドには特に彼女があぐりの存在を知ってからは「おまいう?」状態。必然的に以前よりも昭吾サイド、特にあぐりへの感情移入、というか思い入れが激しくなって、彼女の強さ、優しさ、不憫さ、なによりも健気さに大号泣。時代に翻弄された彼女達へのレクイエム・追悼としてこれ以上はない。このようなすてきな物語を紡いでくれたおせいさんに最大限の感謝を。2019/08/25
水戸
1
しみじみと虚しく、けれど、だからこそ人の本質というか、人生が描かれているなぁと感じました。タイトルの意味は、これだったのかと、ラスト間際でようやく明かされた。人は、ひとつのところに依存するのではなく、複数のものに依存してこそ、自分を保てるもので、多面的な生き物なんだなぁと、改めて思い知らされた作品でした。ダブル主人公、といいたいところだけど、夫婦ふたりに深く関わり、心を揺り動かしたふたりもまた、主人公だったように思えます。
まやま
0
読了後しばし放心。美未へ、昭吾へ、あぐりへ、なよたけの会の女性たちへ、いろいろな思いが浮かぶ。 終盤、美未の怒りや不信にうまく言葉で応えられない昭吾に、大丈夫かしら、と少しハラハラしたが、こういう終わり方かあ、と鮮やかな幕引きに感心した。 タイトル「お母さん疲れたよ」ってそういう意味だったのね…!2011/12/07