ハヤカワ文庫NF<br> 禅とオートバイ修理技術 下

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ハヤカワ文庫NF
禅とオートバイ修理技術 下

  • ISBN:9784150503338

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内容説明

オートバイ修理のような問題を前にすると、かなり知的な人でさえ説明書を読むことすら嫌悪し、専門家に一任してしまいたいと考える。結局彼らはテクノロジーに触れることが人間性の喪失につながると思い込んでいるのだ。だが真理はエンジンの構造にだって宿っていて、それを探るには心の落ち着きが大切なのだ……120人以上の編集者に出版を断わられた後に刊行されるや全米を席捲、今や世界500万部に達する伝説の哲学紀行。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ケイ

136
まさかノンフィクションとは…。2つの人格を持っていた作者が、精神科のオペで排除された人格を回想し、失われた人格にまつわる出来事を哲学的思想を交えて語る。問題児である息子を再生させようとしているのだろうが、語られることのない息子の心理を思うとやりきれない。著者は息子の件に関し、物凄く独りよがりに思える。意識の淵をさ迷う父を前にして、そこに入れない息子の苦悩を強く感じた。ここに物語性はなく、今は禁じられたオペを施された人が語ったという事実が評価されている気がする。2016/06/11

デビっちん

19
親子タンデムのオートバイの旅と、パイドロスが巡った精神世界の旅とが、交互に展開される2重の構造の物語は、下巻に入いるとより哲学的な色合いが濃くなっていました。下巻の後半部分は哲学的な考察の密度がハンパなく理解できたとはいえませんが、また再読してみたいと思います。2018/10/09

ふう

10
【ガーディアン必読小説1000冊】#99 禅についてもオートバイの修理技術についてもほとんど言及されていない本。 単車乗りが、タイトルに惹かれて手にとってみてもきっと失望する。 ただ、モーターサイクルツーリングの本質は充分に堪能できる。 深く、遠くまでのインナーツーリング。高みに達するライダーズハイの恍惚。 上下巻を通じて走り続ける、クオリテイの形而上学。または、観念の分析と方法の研究。あるいはアリストテレスへの反論。どんどん難解な話になっていくので、どこまでついていくか、いけるか・・。 2016/12/23

hide

9
後半になるにつれてバイク修理とツーリングの話は息抜き程度になり、クオリティをめぐる観念的な話の比重が増していく。科学や合理主義への懐疑から出発した著者の思索は、ついにプラトンやアリストテレスを論駁するところまで行き着いてしまう。/正直なところクオリティをめぐる著者の試みは袋小路に陥って失敗(あげく正気を失った)しているように見えるし、終章はむりやり小説らしくまとめたようで尻切れトンボに感じてしまった。/合理主義への疑問を培うという意義はあれど、今更読むにはいささか陳腐かもしれない。2022/01/15

Sugi Takahiro

8
失われた人格「パイドロス」の思考とツーリングの描写が交互にあらわれる。 パイドロスは、作文の良さなどを直観する「クオリティ」が何かを思索し、これを「主観と客観を生み出す根源(アレテ―)」とした。クオリティ=ダルマ=唯一。精神でも物質でもない第3の存在(事物ではなく事象)で、我々が外部を知覚する接点。過去も未来もなく現在のみが存在し(ここら辺が禅的思想)、認識する一瞬前の知覚作用によって捉えられたものが実在。 作文の善し悪しの判定が「人によって違う=クオリティが異なって見える」のは、異なる経験をしてきたため2015/12/28

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