内容説明
原子力発電所が並ぶ敦賀半島沖に北朝鮮の潜水艦が漂着した。対戦車ロケット砲で武装した特殊部隊11名が密かに上陸、逃走する。彼らの目的は何か? 未曾有の事態に政府はなす術を失い、責任のなすり合いに終始する。砂上の楼閣のごとき日本の危機管理を問うベストセラーに、最新情報を盛り込んだ完全版!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
koba
93
★★★☆☆2015/04/25
Willie the Wildcat
64
有事に垣間見る”器”。仕組み、役割、そして人間としての器。国防と(原発を踏まえた)災対という国策。問題先送りによる危機体制の不備。加えてBottom-Upアプローチの欠点・・・。嗚呼、あまりに身に迫る現実感。権力と欲に振り回される人間模様が痛い。そんな政治家や官僚のウダウダが続く中、諸橋首相の奥さんの一言が痛快。背中を押す一言であり、五里霧中に見出す光。アングロサクソンvs.ラテン民族vs.大和民族?!言い得て妙。判断・解釈も丸投げされた現場の苦悩が、悲しくも身近に感じる・・・。(汗)2016/08/21
Mark
34
だいぶ昔の本でしたがリアル感ありますね。今ではかなり有事法制も整備されていると思いますがそれでもまだまだ足りないところや欠落もあるのかもしれませんね。でも、それ以上に覚悟があるかどうかかもしれない、現場の自衛隊や警察の隊員にだけ責任を押し付けるのはナンセンス。2017/11/13
まつうら
33
読んでいてすごくストレスがたまってくる作品。日本の有事法制の現実が描かれていて、自衛隊は立派な装備を持っているものの、いざ外敵に侵略されると何もできない。外敵を攻撃するには政治判断が必要となるが、官僚は自身の保身ばかり気にしているし、政治家は政局を意識して現場を無視した発言を繰り返す。そうやって無駄な話し合いばかりしているうちに、現場では警察官や自衛隊員に死傷者が出る。いったいこの国はどうなっているんだ! イライラ感が高まってくるのは自分だけではないと思う。(下巻に続く)2022/01/18
James Hayashi
29
これだけ統率が取れた部隊があるだろうか。日本の自衛隊が海外に出るとかなり評判がいいと聞く。指示に従う。敵が攻撃してきても上司の指示を仰ぐ…敵が日本に侵入してきてもトップの指示がなければ全く防衛できない自衛隊は軍隊とは言えるのだろうか。能登半島不審船事件は99年。この作品は98年に単行本化し加筆されたもの。著者は預言者か?北朝鮮がなぜ敦賀の原発を狙うのか?政府も自衛隊も法制化されていない事態に遭遇し混乱。次巻へ。2019/10/19