内容説明
5歳の少女が誘拐された。目的は、少女の家族が経営する化学企業が引き起こした水質汚染の告発。新聞社に届いた声明文には汚染事実を報道せよという要求と、符牒として「百匹の踊る猫は告げていた」という一文が記されていた。幼い娘と二人で暮らすK署の若手刑事亜坂は、本庁のベテラン刑事土橋と組み、不可解な事件の真相を追う――日本推理作家協会賞受賞作家が新境地を拓く、初の警察小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
えみ
54
雑味一切無しの警察小説。刑事としても父親としても成長していく、亜坂誠の事件捜査を描いた一冊。斜に構えることで自分の人生の言い訳をしていた彼が、時代遅れ感が漂うが、いちいち鋭い捜査眼力を放つ猟犬のような刑事・土橋に感化されて失いかけていた自信や、大切なものに気づいていく…シンプルだけど、少女誘拐事件の緊張感漂う捜査を通して見えてくる受け身から攻めへ変化していく彼の姿勢が眩しく見えた。誘拐事件と新聞社に届いた声明文、そこに書かれた「百匹の踊る猫は告げていた」の一文。そこから見えてきた真相とは。猟犬の弟子誕生!2023/05/27
ちょん
20
浅暮さんっぽくない、始終真面目な感じ(笑)深い内容ではなく読みやすかったです。実はこの続編を先に買ってしまい、気づいたかには先に1巻を読まなくては、と手に入れた本✨続きも面白そうな感じでうれしい、ようやく読めるぞー✨2022/04/19
coco夏ko10角
16
今まで読んだ著作はライトな感じだったけど、これは正統派で真面目な警察もの。大手化学企業社長の娘が誘拐された、所轄刑事・亜坂はベテラン・土橋と組んで捜査を進めるが…。刑事がシングルファザーで4歳の娘を育てるって大変すぎ。前半はだいぶうじうじしてたけど少しずつ変化していく(それも劇的じゃない)のがいい。地道な捜査もよかった。続編あるのか。2023/03/31
マサキ@灯れ松明の火
10
亜坂(アザカ)は、シングルファーザーにして新米刑事。娘の為に仕事を辞めるべきかお悩み中。設定…デジャブが…あとがきに紹介されている警察物…デジャブだらけ………文体は読みやすいですが、何とも評価しづらい。。すみません…デジャブの作品の方が読み応えがあります!もう1作くらいは読んだ方が良いのかしらん………2017/04/30
シアン
9
警察小説。主人公の亜坂はシングルファーザーの刑事。家庭と仕事とに揺れながら、成長していくありがちな設定だけど、事件を追っていく過程はなかなか。ただ、どうも亜坂に共感できず、前半は特にイラッとさせられる。2016/03/07