内容説明
広島カープの強さの源は〈モミジマンジュウ〉で、〈ヤキュウ〉のルーツは柳生一族にあった!? 自称「日本通」アメリカ人W・C・フラナガンなる人物の誤解とコジツケの処女作「素晴らしい日本野球」。そして、ソ連に占領された戦後日本の姿を描く「サモワール・メモワール」など、作者の平衡感覚に微妙な違和感をあたえるものを、喜劇的想像力をもって、極限まで拡大して表現した作品10編を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
メタボン
33
☆☆ 表題作は外国人が誤解している日本という視点で書かれた短篇。うーん、面白いかどうかは微妙。パロディが空回りしている印象。初小林信彦だったが、これはハズレであり、他の作品は面白い事を期待したい。2021/02/03
浅香山三郎
15
外国人の日本文化誤解ネタ、あるいは「もしも日本が社会主義国家になつてゐたら」、「日本占領が戦後ずつと続いてゐたら」などの架空の日本ネタなど、今の時点からみると何れも何か使い古された状況設定だが、そこは1980年代のユーモア小説といふ目でみると、小林信彦氏らしい軽さと毒が交ざつた独特の風味が感じられる。後半の文体模倣小説もなかなか面白い。落語の口跡と翻訳小説、「到達」のいきなりの落とし方など、実験色も強い。何か、筒井さんみたいだと思つてゐたら、「発語訓練」で塙嘉彦氏の事を回顧する中で筒井さんの名も出てきた。2018/10/05
おとん707
11
10編を収録。表題作と「素晴らしい日本文化」はフラナガンという日本通を自認する米国人の著書を翻訳したという体裁だが中身は誤解と間違いだらけの噴飯もの。実は全ては小林信彦の創作。つまりのちの「ちはやふる奥の細道」と同じアイデアだが「ちはやふる…」の方が楽しめた。特に表題作は昭和の時代なら誰でもピンとくるプロ野球ネタが災いして今となっては賞味期限切れか。むしろ「サモワール・メモワール」はもし日本の戦後が米国でなくソ連に占領されていたらどうなっていたかを描いていて、このご時世で読むと新鮮さと現実味を感じる。2022/04/21
makoto018
7
小林信彦による「ifによる喜劇的想像力のトレーニング」の本。日本通と称する米国人ライターによる「日本野球」「日本文化」論。カルチャーギャップがおかしいこの2作は、創刊まもないBRUTUS誌に掲載されたらしい。慶応大教授が勘違いして新聞で文化誤解を嘆いたくらいもっともらしい。当時の野球ネタが盛られた前者よりは後者がわかりやすいかも(真田広之・将軍のヒットも追い風)。ほかにも、「ジャズマンの法螺話による昭和史」「ロシアに占領された日本の戦後」「小学生女子による大藪春彦風復讐劇」などバラエティに富んだ作品集だ。2026/08/29
やいとや
6
原題の「発語訓練」というのは当時からいいタイトルだと思う。表題作も。この一連の作品がなければ、やはり「僕たちの好きな戦争」はないだろう。でも、それに関係なく、殊に好きなのは「翻訳神話時代」の久保田万太郎の弟子筋の翻訳。「高慢と偏見」なんかこの人が訳したら読みやすいのになあ。「いちご色の鎮魂歌」はそのまま面白い。「ハバロフスク小唄」は、「サモワール・メモワール」で覚えたのか。本にジョージ川口の訃報記事が挟んであったのが、自分で面白い。2018/08/02




